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Ampereがサーバ向けArmプロセッサを開発、Intelに挑戦Intel出身者が集まる新興企業(2/2 ページ)

» 2020年03月16日 11時30分 公開
[Brian SantoEE Times]
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成功を確信するAmpere

AmpereのJeff Wittich氏

 Altraのコアは、Armのサーバ向けプロセッサIP(Intellectual Property)である64ビットの「Neoverse N1」をベースとしている。Ampereの製品担当シニアバイスプレジデントを務めるJeff Wittich氏(元Intel)はEE Timesに対し、「『Arm v8.2』の全機能を搭載する他、v8.2以降の機能も備えている」と語った。

 コアは全てシングルスレッドだという。Wittich氏は、「マルチスレッドは、各スレッドが中断される可能性があり、一貫性のある性能が求められる製品には適していない」と述べている。

 Bajwa氏は製品発表の中で、「クラウドサービスプロバイダー(CSP)は、マルチテナント環境で他のテナントが何を実行しているかにかかわらず、各顧客に信頼性の高い持続的な性能と高レベルの分離とセキュリティを提供するための取り組みを重ねている」と説明している。

 Altraは高速バスインタフェースPCI Express 4.0(PCIe Gen4)ベースで、高帯域幅メモリDDR4を使用している。オープンアーキテクチャであるため、他のコンポーネントと統合しやすい。構成に応じて、ハイパースケールデータセンター向けに最大210Wまで拡張できる。Ampereによると、AltraはTSMCの7nmプロセス技術「N7」で開発および製造しているという。

 では、他の企業がArmに依存して失敗し、データセンター向けプロセッサにIntelを採用する中、Ampereはなぜ成功を確信しているのだろうか。

 Wittich氏は、「Altraは、これまでのような脆弱なクライアントデバイスではない。さらに当社は、7nmプロセスにおける技術リーダーであるTSMCと良好なパートナーシップを築いている。優れた設計でも旧プロセスで製造されていれば、設計の良さを生かしきれない場合がある」と述べている。

 同氏は、「効率面ではRISCアーキテクチャが優れているため、RISCを採用することも考えた。RISC-Vや他のアーキテクチャを採用することもできたが、Armには巨大なエコシステムと広範なサポートがあるため、熟考するまでもなく採用を決めた。Armを採用することで、他のRISCベースコアを採用した場合に生じるギャップを埋めるために時間を費やすことなく、最適化を図ることができる」とも述べている。

AltraをベースにしたAmpereの「Mt. Jade」プラットフォーム。デュアルソケット構成なので、160個のプロセッサコアを搭載している 画像:Ampere

 Ampereは、「消費電力面のメリットも、比較的すぐに意義を感じられるようになる」と予想しているという。同社は、データセンターは現時点で、世界の電力の3%を使用しているという数字を引用し、「消費電力は、データセンター設計において大きな制約となっている」と指摘した。データセンターの消費電力は数年前から安定しているが、IoT(モノのインターネット)の本格的な普及に伴って、2030年には全体の11%を占めるまでに上昇すると予想されている。

 Wittich氏によれば、Ampereは明確な製品ロードマップも用意している。次の製品(開発コードネーム:Mystique)は、Altraと同じプラットフォームで、より多くのコアを搭載し、性能が向上するという。その1年後には、さらに新しい製品(開発コードネーム:Siryn)の開発を進める。

 Wittich氏は、「Intelがサーバ向けプロセッサ市場でのシェアを大幅に失うことは、当面の間ないだろう。それでも、この市場に参入してシェアを勝ち取るチャンスはある。新しいサービスも生まれており、当社はそれに期待している。当社は“クラウドネイティブ”という点を前面に出し、他社と差異化を図っている。この分野は、息の長いビジネスになると見込んでいる」と続けた。

【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】

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