2019年12月に日本でも制度化されたローカル5G。Nokia(ノキア)は、制度化前から、日本企業とともにローカル5Gの実証実験やエコシステム構築を積極的に行ってきた。
ニーズに応じて自治体や企業が個別に構築し、利用できるローカル5G(第5世代移動通信)。海外では、LTEを活用してプライベートネットワークを構築する動きは既に広がっていて、「プライベートLTE」と呼ばれているが、その5G版がローカル5Gである。通信事業者によるエリア展開が遅れている地域に、5Gシステムを先行して構築できる、用途に応じて性能を柔軟に設定できる、干渉による通信障害や災害の影響を受けにくいといった利点がある。
日本では、4.6G〜4.8GHz帯および28.2G〜29.1GHz帯をローカル5Gに活用することが想定されていて、総務省は2019年12月、まず28.2G〜28.3GHzの100MHz幅を先行して割り当て、ローカル5Gの申請受付を開始した。
これにより、利用の申請が増えていて、まずは富士通が2020年2月18日に、国内初となるローカル5G免許を取得。3月27日には、富士通新川崎テクノロジースクエアでの運用を開始した。
通信機器メーカーもプライベートLTE/ローカル5Gに力を入れているが、Nokia(ノキア)もその1社だ。ノキアの日本法人であるノキアソリューションズ&ネットワークスで執行役員 事業戦略担当を務める西原政利(にしはら まさとし)氏は、「今後は、通信事業者が展開する万人向けの5Gと、地域や企業が自分たちのニーズに沿った使い方ができるローカル5Gが両輪となって、日本の社会を改善していくのではないか。そうした“両輪”の時代で、ノキアは従来の主要顧客である通信事業者に加え、エンタープライズの企業にも貢献していきたい。それが、ノキアの立ち位置だ」と語る。
実際にノキアは、日本国内でローカル5Gに関わる取り組みを積極的に行ってきた。2019年9月には、NTTドコモ、オムロンと、製造現場における5G活用の実証実験を行うことで合意したと発表。同年11月には、仙台市と、プライベートLTEを利用して津波避難広報用のドローンを飛行させる実証実験を行っている。同年12月には、国内にローカル5Gのサービスを展開すべく、日立国際電気やIIJ(インターネットイニシアチブ)など5社の日本企業とエコシステムパートナーシップを構築すると発表した。
西原氏によると、日本でもローカル5Gへの問い合わせは増えているという。「2019年も問い合わせは少しずつ増えてはいたが、2019年末に総務省がローカル5Gを制度化して以降、その傾向が加速している。より多くの地域や事業者が、より幅広い用途で使おうとしている印象を受ける。2020年に入ってからは、検証レベルのトライアルではなく、実際の導入と運用を想定したトライアルが増えている」(同氏)
西原氏は、ローカル5Gの活用が期待される用途として、ビデオ監視、機械や装置の遠隔制御、クラウドロボティクスとプロセスの自動化を挙げた。
ノキアは、ローカル5G向けのソリューションとして、コアネットワークをクラウド型で提供する「Nokia Digital Automation Cloud(NDAC)」などのサービスを提供している。また、ローカル5Gに適した製品ラインアップも拡充していく方針だ。「ローカル5Gにしか使えない製品という意味ではなく、電波の届く範囲が狭い小型の無線機など、ローカル5Gに適したラインアップをそろえていく。ノキアは、ローカル5Gに必要なソリューションをエンド・ツー・エンドで提供できるベンダー。それが強みだ」(西原氏)
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