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芝浦工大、全方位に響く半球形/球形スピーカー人工筋肉を高速振動させ音を出す

芝浦工業大学は、人工筋肉を高速に振動させて音を出すスピーカーを開発した。人間が聞き取れる高い音域まで、ほぼ全方位に音を届けることができるという。

» 2020年05月22日 09時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

音場やスピーカーの大きさに関係なく点音源を実現

 芝浦工業大学工学部機械機能工学科の細矢直基教授は2020年5月、人工筋肉を高速に振動させて音を出すスピーカーを開発したと発表した。人間が聞き取れる高い音域まで、ほぼ全方位に音を届けることができるという。

 開発したスピーカーは、軽量かつ柔軟な誘電エラストマーアクチュエーター(DEA:Dielectric Elastomer Actuator)を半球形や球形にして、高速振動させる構造である。これによって、音場やスピーカーの大きさに関係なく点音源を実現できるという。DEAは、1秒間に最大1万6000回の振動が可能であり、可聴域の上限に近い16kHzまで、ほぼ無指向の音響放射特性を再現することができる。

球形スピーカーの断面図とDEAによる振動イメージおよび主な特長 (クリックで拡大) 出典:芝浦工業大学
球形スピーカーの揺れ方 出典:芝浦工業大学

 DEAは、高分子誘電膜を柔軟電極で挟み込んだキャパシター構造である。電極間に電位差が生じると、電極同士が静電気の力により互いに引き合って変形する。誘電エラストマーはポアソン比(縦ひずみと横ひずみの比)が0.5に近いため、体積の変化はほとんどないという。これらの特長から、人工筋肉や発電デバイス、ソフトロボットなどへの応用が期待されている。

 なお、今回は半球形スピーカーをシリコーンゴムで、風船のような球形スピーカーをアクリルゴムでそれぞれ製作した。

左はシリコーンゴムで製作した半球形スピーカー、右はアクリルゴムで製作した球形スピーカーの外観 出典:芝浦工業大学

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