芝浦工業大学は、人工筋肉を高速に振動させて音を出すスピーカーを開発した。人間が聞き取れる高い音域まで、ほぼ全方位に音を届けることができるという。
芝浦工業大学工学部機械機能工学科の細矢直基教授は2020年5月、人工筋肉を高速に振動させて音を出すスピーカーを開発したと発表した。人間が聞き取れる高い音域まで、ほぼ全方位に音を届けることができるという。
開発したスピーカーは、軽量かつ柔軟な誘電エラストマーアクチュエーター(DEA:Dielectric Elastomer Actuator)を半球形や球形にして、高速振動させる構造である。これによって、音場やスピーカーの大きさに関係なく点音源を実現できるという。DEAは、1秒間に最大1万6000回の振動が可能であり、可聴域の上限に近い16kHzまで、ほぼ無指向の音響放射特性を再現することができる。
DEAは、高分子誘電膜を柔軟電極で挟み込んだキャパシター構造である。電極間に電位差が生じると、電極同士が静電気の力により互いに引き合って変形する。誘電エラストマーはポアソン比(縦ひずみと横ひずみの比)が0.5に近いため、体積の変化はほとんどないという。これらの特長から、人工筋肉や発電デバイス、ソフトロボットなどへの応用が期待されている。
なお、今回は半球形スピーカーをシリコーンゴムで、風船のような球形スピーカーをアクリルゴムでそれぞれ製作した。
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