安全性や利便性の観点から、指紋や顔、光彩などを用いて個人を認証する「生体認証」の利用が近年拡大している。セキュリティ/認証技術世界大手のIDEMIA(アイデミア/日本法人:アイデミア・ジャパン)は、2020年から「非接触型指紋認証デバイス」の日本展開を開始。独自技術を用い、触れることなく迅速な本人認証が可能となるデバイスで、オフィスや工場のアクセス管理のほか、施設内での決済など用途を拡大していく方針だ。今回、同社の事業内容や日本市場での展開について、アイデミア・ジャパン代表取締役の根津伸欣氏に話を聞いた。
安全性や利便性の観点から、指紋や顔、光彩などを用いて個人を認証する「生体認証」の利用が近年拡大している。セキュリティ/認証技術世界大手のIDEMIA(アイデミア/日本法人:アイデミア・ジャパン)は、2020年から「非接触型指紋認証デバイス」の日本展開を開始。独自技術を用い、触れることなく迅速な本人認証が可能となるデバイスで、オフィスや工場のアクセス管理のほか、施設内での決済など用途を拡大していく方針だ。今回、同社の事業内容や日本市場での展開について、アイデミア・ジャパン代表取締役の根津伸欣氏に話を聞いた。
アイデミアは、ともにセキュリティ関連技術を手掛けていたOberthur Technologies(OT)とSafran Identity&Security(Morpho)の2社が合併し、2017年に設立したフランスの企業だ。
同社は、生体認証技術のほか、金融カードの製造や発行、SIMカード/eSIMの提供、身分証明書の電子化など、セキュリティ/認証技術に関連する幅広い事業を展開。現在、売上高は約30億ユーロ、従業員は約1万4000人で、世界180カ国の顧客にサービスを提供している。日本においては、2002年にOTが日本法人を設立しており、2018年からアイデミア・ジャパンとして活動している。
アイデミアの「生体認証技術」はもともとMorphoが有していた技術で、その歴史は長い。同社は、1973年には米国の法執行機関とともに、指紋の間隔の差分や特徴点の抽出技術などを研究開発し指紋認証技術の提供を始めたという。
その後、顔認証や光彩認証、さらにはタトゥー認証など、さまざまな種類の認証技術に展開。各国の法執行機関や各種施設、メーカーなどに向けてサービスを拡大している。数十年にわたり培ってきた専門能力から、同社の各種生体情報アルゴリズムの性能は高く評価されており、直近では2020年4月、虹彩認識の識別性能を評価するNIST(米国国立標準技術研究所)が実施した光彩認証技術の精度評価テスト(IREX 10:識別トラック)で第1位となっている。
アイデミアの事業領域は政府機関、空港などを対象とする「Government」領域と、金融やモバイル事業者、メーカーなどを対象とする「Enterprise」領域の2つに大別されるが、生体認証デバイスはいずれの領域でも用いられている。
その導入事例も多岐にわたり、「Enterprise」領域では例えば指紋認証機能がついた金融カードや、企業のアクセス管理での指紋/顔認証デバイスの導入などが挙げられる。Government領域においては、各国法執行機関向けの動画解析エンジンなどのほか、米国の空港でのTSA Pre Check(TSA事前審査プログラム)や、シンガポールのチャンギ空港第3、第4ターミナルで同社が提供する搭乗手続き関連の自動化ソリューションなどにおいて、顔認証、指紋認証デバイスが導入されている。なお、宗教上の理由から女性が顔を隠している場合も多いドバイやアブダビなどの空港においては、顔を隠したままでも認証できるように、光彩認証デバイスを導入しているという。
また、根津氏は、「非常に大きなデータベースの管理実績および、ソフトウェア、デバイスの提供を各国のGovernment向けに提供してきた実績がある」と説明。同社は、2009年から導入されたインドの国民IDシステム「Aadhaar」においても初期段階から関わっているという。このシステムでは、顔、光彩、指紋データを12億人以上の国民一人一人のデータに付加し管理しているが、「われわれは生体情報データを5年かけ登録したところから協力しており、ソフトウェアやデバイスも提供してきた」(根津氏)としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.