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エッジコンピューティングの逆襲 特集
インタビュー
» 2020年06月15日 09時30分 公開

日本中小企業のAI導入加速を狙う、ジルファルコンシリコンバレー発AIスタートアップ(2/3 ページ)

[永山準,EE Times Japan]

――現在の主力製品とその概要、製品展開の予定について。

 西口氏 Gyrfalconは現在、「Lightspeeur 5801」と「Lightspeeur 2803」を中心に展開している。

 Lightspeeur 5801は消費電力224mWで2.8TOPS(200MHz動作時)の演算性能(12.6TOPS/W)を提供するもので、チップサイズは6×6mmと小型でかつ安価に提供が可能なため、前述のLGのミッドレンジスマホでの搭載など民生機器向けに高いニーズがある。対して、「Lightspeeur 2803」は、サイズは9mm x 9mmで、消費電力700mWで16.8TOPS(300MHz動作時)の演算性能(24TOPS/W)とさらに高い性能を実現している。また、複数チップの並列、直列接続も可能であるため、より複雑な画像アルゴリズムの処理にも対応する。

「Lightspeeur 5801」と「Lightspeeur 2803」の概要(クリックで拡大) 出典:Gyrfalcon Technology

 単体のチップの提供だけではなく、複数のチップで構成するモジュールも提供しているほか、「AIサーバ」についても現在開発も進めている。

 特にAIサーバは、モジュールを複数搭載することで、大量かつパラレルに入ってくるデータを非常に低消費電力かつ高速に処理することが可能とする。低消費電力、小型化を狙いArmベースのプロセッサを用いている。何百という監視カメラを管理するサーバにおけるリアルタイム検知や、製造業の現場で行う外観検査の自動化など、AIサーバの市場は必ず拡大していくとみており、われわれのコア技術により特に画像分析、画像検査において優位性を持って展開できると考えている。このAIサーバは遅くとも2020年10〜11月ごろには、製品レベルのものをマーケットに示すことができると思う。

――ターゲットとする市場や、現在最も大きな注力市場は?

 西口氏 米国本社は基本的には、LGのスマホで既に導入されたようにスマートフォン市場などのボリュームゾーンを狙っている。その結果として、現在売上高の製品別シェアはモバイルが一番高くなっている。ただ、これは一番採用が早かったのがモバイル向けというだけで、そのほか家電やカメラなどへの搭載も進んでいる。将来的には民生製品から、産業、車載、サーバなど、将来的にはAIに関わる全てに関わっていきたい、というのがわれわれの目標だ。ただ、現在エッジAIを搭載しその性能を最大限生かしているような製品は世界的みてもまだあまりない。企業が真にエッジAIを使いこなすようになるには、もう少し時間がかかると考えている。

各種IoTデバイスやスマートフォン、検査機器、防犯カメラ、ロボット、自動車、さらにデータセンターなど、将来的にはあらゆる市場をターゲットとする(クリックで拡大) 出典:Gyrfalcon Technology

 なお、5G(第5世代移動通信)の時代において必ず求められると考えられる「CDVA(Compact Descriptors for Video Analysis:動画分析のためのコンパクトな特長記述の符号化)」や「VCM(Video Coding for Machines:マシン向けビデオコーディング)」という技術のMPEG標準の策定については、当社の現CTO(最高技術責任者)がチェアマンとなって積極的に進めてきた。こうした点から、クルマの自動運転アプリケーションにおけるカメラの画像処理用途など、広く拡大が見込まれるエッジAIの市場において、優位な製品展開が進められると考えている。

――競合の認識および優位性について。

 西口氏 NVIDIAやIntelなどが競合といえるが、われわれの技術は、彼らのものとは全くコンセプトが異なる。われわれは、低消費電力かつ高速な性能をもつCNNに特化したAIデバイスという強み一点に絞り、この点においてグローバルトップの地位を確立するという明確な意思を持っている。だからこそ迅速な意思決定や開発スピードも実現できており、今後も方針は変わらないだろう。

――新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響についてどう見ているか。

 西口氏 収束には数年かかると思われ、われわれは「どうやってコロナとともに企業活動を行うか」、という『ウィズコロナ』の観点でビジネスに取り組む必要がある考えている。既にリモート勤務を導入した企業も多いが、今後こうした企業活動の変容は積極的に進められていくと思うし、進まなければそれは企業の生き死にの問題となる。そうした中で、工場の自動化の加速など、われわれの商機も生まれると思っている。

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