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TinyMLの簡素化に取り組む米スタートアップEdge Impulse(1/2 ページ)

筆者は最近、TinyML(スマートフォンでも動作可能なほど低消費電力の機械学習)関連の動向について取り上げることが増え、その中でEdge Impulseの名前が頻繁に登場するということに気付いた。Edge Impulseはどのような企業なのか。

» 2020年07月08日 11時30分 公開
[Sally Ward-FoxtonEE Times]

 AI(人工知能)アクセラレータメーカーである米Eta Computeは最近、新型AIセンサー開発ボードに関する詳細を発表した。同社の超低消費電力チップ「ECM3532」を搭載するという。さらに、米Edge Impulseと共同で2020年7月14日に、オンラインワークショップを開催する予定だ。

 筆者は最近、TinyML(スマートフォンでも動作可能なほど低消費電力の機械学習)関連の動向について取り上げることが増え、その中でEdge Impulseの名前が頻繁に登場するということに気付いた。TinyMLは、マイコン向けに適合するだけの機械学習アルゴリズムを少量適用するため、規模は小さいが、非常に重要な業界分野とされている。今こそ、このEdge Impulseがどのような企業なのか、そしてその背後には誰が存在しているのかを、明らかにすべきではないだろうか。

Eta Computeの機械学習向けセンサーボード 出典:Eta Compute

 Edge Impulseの共同創設者でありCEOを務めるZach Shelby氏は、EE Timesの電話インタビューで、「Edge Impulseは、エッジ機械学習向けにエンドツーエンドの開発プラットフォームを開発した」と説明している。

 「ソフトウェア開発において最も重要なのは、コードである。一方、機械学習の分野では、データセットがコードに相当するため、かなり注意深く取り扱う必要がある。ソフトウェア分野には、ソフトウェアアーキテクチャが存在する。コードをアーキテクチャに適用する場合、機能するものを適用したいと考えるのが普通だ。機械学習分野では、アルゴリズムがアーキテクチャのような存在だといえる」(同氏)

 Edge Impulseは、このようなプロセス全体を通してエンジニアたちをサポートしたい考えだという。同社のツールは、そのほとんどがデータセットの操作をターゲットとしており、可視化や分析、データセットの移動、データセットへの追加などに対応可能だ。また、さまざまなアルゴリズムライブラリも取りそろえ、それら全てを拡張したりカスタマイズしたりできる。さらに、データをアルゴリズムに適用するプロセスが自動化されている。例えば、アルゴリズムをトレーニングしたり、現在起こっていることを可視化するためのインフラなどが含まれる。また、トレーニングや導入などもサポートされていて、マイコンやローエンドのCPUなどにターゲットを絞った導入が行われている。

 Shelby氏は、「Edge Impulseプラットフォームからの標準出力は、C++またはWebAssemblyで行われ、十分な数学機能があれば何にでも構築することが可能なため、現在普及している部品全体の約95%が適用可能だ。Eta Computeの専門性が高いハードウェアもそれに該当する」と述べる。

 さらに同氏は、「組み込み開発メーカーとしては、Eta Computeのようなメーカーの部品を使用することは非常に難しいかもしれない。そして機械学習を実行するとなると、さらに困難を極めるだろう。われわれは、そうした課題を取り除こうと、当社製ボードを機能させることが可能な、優れたドラッグアンドドロップバイナリを用意している。直ちにセンサーデータの収集を開始し、当社のシステムに送信することができる」と説明している。

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