半導体産業は需給バランスや季節要因による変動が激しいことで知られるが、今のところ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大による「想定外の事態」を切り抜けているように見える。それは、COVID-19のパンデミック(世界的な大流行)の中、半導体メーカーが、電力や水と同様に重要な、リモートワークや教育などのインターネット接続に必要なコア技術の提供を担っているためだ。
半導体産業は需給バランスや季節要因による変動が激しいことで知られるが、今のところ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大による「想定外の事態」を切り抜けているように見える。それは、COVID-19のパンデミック(世界的な大流行)の中、半導体メーカーが、電力や水と同様に重要な、リモートワークや教育などのインターネット接続に必要なコア技術の提供を担っているためだ。
実際に業界の観測筋は、「過去10年間にエレクトロニクス分野で仮想化が進んだように、半導体産業は今、人と人の関わり方の変化を加速させようとしている」と見ている。
WSTS(World Semiconductor Trade Statistics:世界半導体市場統計)の調査によると、2020年5月の世界半導体売上高は月次ベースで1.5%増加し、350億米ドルに達した。米国半導体工業会(SIA:Semiconductor Industry Association)は「今後数カ月間の先行きはかなり不透明」とする一方で、「WSTSでは、ICの年間売上高が3.3%増加すると予測されている」と述べている。
SIAの予測は、「2020年の半導体売上高は、2019年の減少に対して横ばい、もしくはわずかに増加する」という他の業界の予測と一致している。例えば、投資銀行のCredit Suisse(クレディ・スイス)で業務執行取締役を務めるJohn Pitzer氏は、COVID-19の影響を考慮した上で、「世界半導体売上高は約2%増加する」と予測する。
Pitzer氏はマクロ経済の観点から、「パンデミックによって、物理的な移動や対面を伴う“リアル”から、オンラインを活用する“バーチャル”へと需要の転換が進み、世界半導体業界に“大きな価値の転換″がもたらされる」と予想している。「このようなパンデミックによる価値の転換は、半導体産業の長期的な成長が加速する状況にあることを意味している」(Pitzer氏)
WSTSは、2021年の世界半導体売上高は年間6.2%と好調な成長が見込まれると予測している。
WSTSの予測によると、2020年の世界半導体売上高は4260億米ドルに達する見通しで、北米市場は前年比12.8%の成長が予想されるという。一方、欧州と日本の半導体市場は縮小し、アジア太平洋地域は2.6%と緩やかに成長すると予想されている。
SIAは2020年に発表した世界半導体産業に関する年次レポートの中で、「世界半導体市場の年間売上高は5000億米ドルに近づいている」と述べている。最近の低迷にもかかわらず増加傾向にあるのは、通信とコンピューティングがけん引しているためだ。さらに、5G(第5世代移動通信)や機械学習などの新しい技術が、現在の低迷を逆転させると期待されている。
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