半導体/電子部品のディストリビューターMouser Electronics(以下、Mouser)は2020年8月4日、年次記者説明会を開催し、同社の販売実績などを紹介した。
半導体/電子部品のディストリビューターMouser Electronics(以下、Mouser)は2020年8月4日、年次記者説明会を開催し、同社の販売実績などを紹介した。
説明会の冒頭には同社のグローバルサービス&セールスでシニアバイスプレジデントを務めるMark Burr-Lonnon氏がビデオにて登場。2020年のMouserの売上高について「前年比8%増と予測している」と述べ、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにおいてもエレクトロニクス業界は、これまでのところうまく切り抜けている」と続けた。さらに、COVID-19の影響により、人工呼吸器などの医療機器に向けた部品を購入する顧客が増え、Mouserにとっては追い風になっていると語った。
MouserのAPACマーケティング&ビジネス・デベロップメントでバイスプレジデントを務めるDaphne Tien氏によると、2020年上半期におけるグローバルでの成長率は前年比で6%だった。特にAPACの売り上げ増加が最も高く、前年比で18%増となっている。
COVID-19による影響がさまざまな分野に及ぶ中、Tien氏はMouserにおいては「ポジティブな影響となっている」と述べる。オンラインによる部品の購入がより増えたことが、その要因だ。さらに、2020年上半期には、新規のアカウント(顧客数)で12万3500件を獲得した。「1日当たり950件の新規顧客を獲得していることになる。Mouserにとって非常によいことだ」(Tien氏)
Mouserの強みは、在庫の品番数の多さである。同社は100万以上の品番数を在庫として持っており、その数は競合他社に比べても突出して多い。さらに、新製品の売り上げの比率が高いことも特長だ。
Tien氏は、米国テキサス州マンスフィールドに保有している倉庫を拡張したので、「今後も在庫を増強していく」と述べた。なお、拡張した部分は製品のピックアップにロボットを使うなど積極的に自動化していて、Tien氏によれば、製品出荷までの時間を約25%削減できたという。
Mouserの副社長兼日本総責任者を務める勝田治氏は、日本の現況について「好調」だと述べる。Mouserの日本オフィスは2020年5月で開設5周年を迎えた。2019年には、2015年比で売上高は2.7倍、顧客数は3.3倍を達成。2020年上半期の販売実績は、前年比で約20%増と堅調に成長している。勝田氏は好調の要因について、「コロナ禍の中、(オンライン販売や在庫の品番数といった)Mouserの利便性と優位性が再評価されたと考えている。ただ、コロナ禍によるパニックバイも含まれている」と分析する。
「Mouserの強み」(勝田氏)とするマーケティング活動については、リアルからバーチャルへの転換を図った。展示会はバーチャル展示会に、セミナーはウェビナーにといった具合だ。勝田氏によれば、少なくとも2020年はバーチャル展示会とウェビナーを通じてのマーケティング活動に転換する計画だという。バーチャル化に加え、Twitterを利用して独自のキャンペーンを行うなどブランディングも強化した。
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