VLSI Researchは、COVID-19拡大による影響を考慮して、2020年の製造装置に関する予測を修正している。2020年の合計売上高は、前年比7.3%増となる827億米ドルの見込みだという。
また同社は、2020年後半の売上高に関しては、第3四半期が9%減、第4四半期が20%減と予測する。2020年全体では、世界半導体装置市場の売上高は、前年比7.6%減となる712億米ドルの見込みだ。
一方SEMIは、2020年における世界半導体製造装置市場について、6%増となる632億米ドルに達し、2021年には過去最高となる700億米ドルを達成する見込みだと予測する。
業界専門家たちは、中国の半導体技術進歩を阻止することを目指す新しい輸出規制に対し、賛成の意を示している。輸出規制では、特にHuaweiの名前が挙げられているが、最終用途向け設備は、中国の現地半導体メーカーの他、Huaweiとの取引があるSMICやTSMCなどのファウンドリーにも影響を及ぼす可能性がある。
SEMIは、「Huaweiは既に、米国のエンティティリストに入っているため、このリストに登録されていることによって生じる制限事項が拡大されることになる」と述べる。
Puhakka氏は、「半導体装置の売上高に関連する輸出規制は、非常に複雑だ。新しい規制には、3つの目的がある。1つ目は、政府が半導体装置関連の顧客や機器メーカーの販売プロセスなどについて、より多くの情報を収集すること。2つ目は、中国軍(基本的には中国政府)が最先端の製造装置を入手するのを阻止すること。そして3つ目は、Huaweiに対して、最先端の半導体技術へのアクセスを制限することだ」と述べる。
例えば、TSMCがHuaweiに出荷するためのウエハー処理を行う場合には、輸出規制が適用される。また、ウエハーがパッケージング向けに出荷される場合は、システムに対する回避措置が行われる。2020年6月頃、TSMCが2020年の設備投資額を増加させるのではないかとするうわさが流れていたが、実際にはそうならず、TSMCはその後、米国アリゾナ州に工場を建設する計画を発表した。
中国は、米国製装置に後れを取っている自国の半導体技術を向上させていく上で、かなり苦労するとみられている。しかしPuhakka氏は、「中国の取り組みが不可能だとは思えない。ほとんどの半導体製造装置の分野には、欧州や日本のサプライヤーがいる。KLA-Tencorがリーダー的地位を確保しているプロセス制御の分野は、ベンダーの数はかなり少ない」と述べる。
技術をめぐる冷戦の中で、もう1つ別の衝突要素となっているのがIP(Intellectual Property)だ。IPが、ライセンス契約をますます複雑化させている。Puhakka氏は、「ArmやメモリIPの他、TSMCなどのメーカーがコンパイルしたIPライブラリなど、さまざまな種類のIPソースが存在している」と述べる。米中ハイテク戦争では、IPはハードウェアと同様に扱われ、非常に重要な技術と定義されている。
政治的には、半導体分野における中国の成長を阻むことは広く支持されている。かつて中国が市場に与えた影響で一例を挙げると、ソーラーパネルと液晶ディスプレイ(LCD)分野では、中国の優位性により価格破壊が起こってしまったため、多くの外国企業が同市場への参入を断念した。ある業界専門家は、中国政府からの助成金を受けた中国企業が、これらの市場を「荒廃させてしまった」と指摘した。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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