TSMCは2020年8月24〜26日に年次イベント「TSMC 2020 Technology Symposium」をオンラインで開催し、現在「N5」プロセス適用製品の生産を拡大していく中で、「N4」プロセスを開発したと発表した。2021年に生産を開始し、2022年には量産に着手する予定だという。
TSMCは2020年8月24〜26日に年次イベント「TSMC 2020 Technology Symposium」をオンラインで開催し、現在「N5」プロセス適用製品の生産を拡大していく中で、「N4」プロセスを開発したと発表した。2021年に生産を開始し、2022年には量産に着手する予定だという。また同社は、避けて通れないであろう質問を予測して、N4に続く「N3」プロセス技術に関する詳細についても、一部情報を提供している。
TSMCは、中期計画について語る前に、より近い将来に関するニュースとして、N5の拡張版である「N5P」を2021年に実用化する予定であることを明らかにした。同社によるとN5Pは、N5と比べて速度を5%、電力効率を10%向上させることが可能だという。
また、「N4は、N5からの明確な移行を遂げる拡張版であり、もちろん性能や電力、密度などの向上も実現する。製造面では、マスク層をいくつか減らすことができる他、設計に関しては、N5に対して設計ルールやSPICE、IP(Intellectual Property)などの互換性を確保する予定だ」とも説明した。
N4は、多少なりとも漸進的な進歩にとどまるため、プロセス技術として大きな飛躍を達成するのは、N3になるとみられる。N3は、オリジナルのN5と比較すると、ロジック密度が1.7倍(N7からN5の微細化において1.8倍の向上を実現した時と似ている)高まり、同じ消費電力で10〜15%の高速化を実現しながら、同じ速度では25〜30%の消費電力を削減することが可能だという。
驚くべきは、TSMCが、N3プロセスをFinFETの構造で実現する予定だということだ。TSMCは、「顧客企業とは話し合いを進めており、性能向上が確約されていることに満足してもらっている」と述べている。これらの顧客の中には、モバイル市場やHPC市場の企業も含まれているという。
TSMCはN3に関して、2021年の実用化を目指して開発を進めているが、完全な量産を実現できるのは2022年後半以降になるとみられる。
また、同社は今回、エッジAI(人工知能)デバイス向けに最適化した超低消費電力技術の改良版である「N12e」についても大々的に発表している。同社によるとN12eは、「12FFC+」の類似技術であり、同社にとっては初めてFinFETトランジスタを適用した超低消費電力技術となる。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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