図3は、Intelの最新の10nmプロセッサを採用したノートPC(2019年末に発売)と、分解して取り出したプロセッサ上に刻印されている年号の写真である。
Intelは、2014年に世界初となる14nmプロセスを立ち上げ、同年、14nmを適用した「CORE M」の量産をスタートした。しかし、その後おおよそ5年間、14nmを改良しながら使い続け、TSMCやSamsung Electronicsが10nm、8nm、7nm、5nmとほぼ1.5年周期で微細化を進める中で、製造のトップから脱落してしまっている。決してIntelの製造技術が劣っていたわけではない。TSMCとSamsungが、モバイルやHPC(High Performance Computing)を中心に猛烈にアクセルを踏んだ結果である。5年間1つのプロセスにとどまることは、半導体業界では事実上「停止」を意味するからだ。
一方でTSMCやSamsungはむしろ開発周期を速め、さらに設計から試作を自社内で行い、半完成品をユーザーに提供する体制をも整えている。TSMCらに遅れること2年、2019年に発売されたIntelの10nmシリコンには、「2017年」の年号が刻印されている。開発は、2017年には終わっていたわけだ。この時点で10nmチップをリリースできていれば、その後の状況は変わっていたかもしれない。しかし量産化には、さらに2年を要した。
図4は、Intelの10nmプロセッサとAMDの7nmプロセッサの比較である。Intelは4コアに対してAMDは8コア。製造技術が1世代異なることで集積密度にこの差が出ている。
またIntelでは、USBやSATAなどインタフェースを別シリコンにした2チップ構成を取っているのに対して、AMDでは1シリコン化で、スモールパッケージや部品点数の削減を果たしている。ほぼ同じ機能を持つ2つのチップだが、中身の構成は全くと言っていいほど異なっている。どちらが安価であるかは有償のテカナリエレポートに記載している。興味がある方は、ぜひ弊社に問い合わせていただきたい。
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