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大真空、高安定で低消費電力の小型OCXOを開発5G基地局のコスト削減も可能に

大真空は、5G(第5世代移動通信)基地局用装置などに向けて、小型で消費電力が小さいOCXO(恒温槽付水晶発振器)「DC7050AS」を開発した。

» 2020年09月17日 10時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

コア部に小型水晶デバイス「Arkh.3G」を搭載

 大真空は2020年9月、5G(第5世代移動通信)基地局用装置などに向けて、小型で消費電力が小さいOCXO(恒温槽付水晶発振器)「DC7050AS」を開発したと発表した。2020年12月以降にもサンプル出荷を始める。

 5Gシステムは、従来に比べて高い周波数帯を用いるため、広範な通信エリアをカバーするには、膨大な数の基地局を設置する必要がある。基地局用装置に搭載するタイミングデバイスとしては、TCXO(温度補償水晶発振器)に比べ、高い安定性と低消費電力を可能にする小型のOCXOが注目されている。ただ、現行のOCXOだと熱容量や放熱量が大きく、消費電力が増えるなど課題もあった。

 新製品は、コア部に小型の水晶デバイス「Arkh.3G」を用いた。Arkh.3Gは、独自の接合技術「Fine Seal」を用い、3層の水晶ウエハーを貼り合わせたWLP構造となっている。従来の小型水晶発振器(1612サイズ)に比べ、体積が85%以上も小さく厚みは半分以下だという。これによって、OCXOの外形寸法を7.3×4.9×2.0mmまで小型化し、熱容量と放熱量も極限まで下げることに成功した。

 コア部は一般的に大気雰囲気下であるが、新製品は真空雰囲気下となっており、熱対流の影響を受けにくい構造とした。主な仕様は周波数温度特性が最大±30×10-9、消費電力は0.25W(代表値、25℃安定時)、出力周波数は5〜100MHzである。なお、新製品は汎用的なセラミックパッケージを用いており、全自動ラインでの組み立てが容易である。このため、安価なOCXOを大量に供給することが可能となる。

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