数週間にわたってうわさされていたNVIDIAによるArmの買収が、ついに正式な合意に至った。NVIDIAは、400億米ドル(約4.2兆円)の株式と現金でArmを買収する。NVIDIAの創業者でCEO(最高経営責任者)を務めるJensen Huang氏とArmのCEOであるSimon Segars氏は、2020年9月14日(米国時間)に報道関係者とアナリストを対象に開催した電話説明会で今回の買収について説明し、Huang氏がこの機会に心血を注いでいることが分かった。
数週間にわたってうわさされていたNVIDIAによるArmの買収が、ついに正式な合意に至った。NVIDIAは、400億米ドル(約4.2兆円)の株式と現金でArmを買収する。
NVIDIAの創業者でCEO(最高経営責任者)を務めるJensen Huang氏とArmのCEOであるSimon Segars氏は、2020年9月14日(米国時間)に報道関係者とアナリストを対象に開催した電話説明会で今回の買収について説明し、Huang氏がこの機会に心血を注いでいることが分かった。ただし、規制当局の承認を得るには少なくとも1年以上かかるとみられる。
Huang氏は電話会議で、「この取引は、テクノロジーセクターと英国にとって非常に重要だ。両社の力を合わせて、AI(人工知能)時代に向けて、世界最高峰のコンピューティング企業を築きたい」と熱く語っていた。一方、Segars氏の口調は楽観的でありながらも慎重だった。これは恐らく英国人の気質のせいで、取引が実際に締結されるまでは強気になりすぎないようにしているのだろう。米国人CEOと英国人CEOの2人の流儀は、全く対照的だった。
この取引は間違いなく大きい。NVIDIAは215億米ドル相当の株式をソフトバンクに譲渡し、その結果、ソフトバンクはNVIDIAの最大の出資者に数えられることになる。400億米ドルの残りの額は、ソフトバンクに現金120億米ドル(うち20億米ドルは契約締結時に支払われる)、Armの従業員に株式15億米ドル、さらに、アーンアウト条項に基づいて、Armが一定の財務目標を達成した場合に最大50億米ドルの現金または株式がソフトバンクに支払われる。
だが、この取引には2つの重要な懸念事項がある。1つは、英国が技術業界の雄を米国に譲り渡してしまうことで、もう1つは、NVIDIAの競合でもあるArmのライセンシー(ライセンス利用者)の懸念についてである。
1つ目の問題に対して、NVIDIAは、30年前にArmが設立された英国ケンブリッジに世界クラスの新しいAI研究教育センターに設立し、革新的な研究に向けてArm/NVIDIAの技術を結集したAIスーパーコンピュータを構築するという大きな約束を示した。
2つ目の問題は、業界がより懸念していることだ。NVIDIAは、「ArmはNVIDIA内の独立部門として取引するため、Armのオープンライセンスモデルと顧客の中立性は維持される」と述べている。さらに、「NVIDIAの技術を活用してArmのIP(Intellectual Property)ライセンスポートフォリオを拡充する」としている。
NVIDIAとArmは、顧客、パートナー、国の規制当局を説得するためのキャンペーンを開始しても、顧客の中立性に関する2つ目の問題は、今後数カ月にわたって議論されることは間違いない。
電話説明会でSegars氏は、同氏が4年前に語った「Armのパートナーと顧客は、Armの独立性に価値を見いだしている」という言葉について尋ねられていた。今は、どう変わったのか。Segars氏は、「Armの価値は、われわれが生み出した技術にある。このモデルを維持できるレベルの独立性を保って運営していく」と述べた。また、NVIDIAによる買収のうわさが流れて以降、ここ数週間で既にさまざまな顧客と話し合っていることも付け加えた。
Huang氏は「独立性の美徳は開放性と公平性だ」と述べた。さらに、英国政府との協議を開始したとも説明し、誰もが納得できる建設的なフレームワークを構築することを目指しているとした。「世界中でAIに向けた競争が行われており、どの国もAIの研究開発を進展させるためにクリティカルマス(critical mass)のコアを追いかけている。英国の研究者は、AI研究のために国外に出る必要はないだろう。ケンブリッジは、NVIDIAの欧州最大の拠点となる。ケンブリッジには、世界で最も優れたコンピュータ科学者がいる」(Huang氏)
中国については、「提案は親中的なものであり、この取引を気に入ってもらえるだろう」と語った。Armの中国合弁会社の構造は変わらない。Segars氏は「合弁事業はわれわれが中国のために設立したものであり、(買収取引が完了すれば)NVIDIAの下で継続されるだろう」と付け加えた。
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