マクセル、コイン形全固体電池の生産設備を導入:2021年から本格量産に移行
マクセルは、硫化物系固体電解質を用いたコイン形全固体電池の生産設備を小野事業所(兵庫県小野市)に導入し、2021年から量産を始める。
マクセルは2020年9月、硫化物系固体電解質を用いたコイン形全固体電池の生産設備を小野事業所(兵庫県小野市)に導入すると発表した。2021年から量産を始める予定である。
サンプル出荷しているコイン形全固体電池の外観
マクセルは、配合や成形、封止といった独自のプロセス技術と、三井金属鉱業など国内材料メーカーとの協業により、硫化物系アルジロダイト型固体電解質を用いた小型の全固体電池を開発。2019年9月からサンプル品の出荷を始めていた。
引き続き、材料やプロセス技術の開発と改良を重ねてきた。その結果、当時のサンプル品に比べ、内部抵抗を10分の1に低減し、高負荷時における放電容量を約10倍に向上させた。また、温度や湿度に対しても、高い安定性を有する固体電解質と電極材料を採用することで、高温貯蔵特性を大幅に改善したという。
開発したコイン形全固体電池(直径9mm、高さ2.7mm)の放電特性(左)と60℃貯蔵特性(右) (クリックで拡大) 出典:マクセル
この他、加速試験により20年以上も安定した電池特性が維持できることを確認した。また、−50〜125℃の温度範囲で優れた電池性能を実現している。
同社は、BLE(Bluetooth Low Energy)機能を搭載したウェアラブル機器の他、FA機器やIoT(モノのインターネット)機器といった用途に、コイン型全固体電池を提案していく。
- 電池技術関連特許出願数、日本が世界トップ
欧州特許庁および国際エネルギー機関は2020年9月22日、電池技術に関する世界特許出願数で、2018年に日本が全体の3分の1以上を占めて「圧倒的世界ナンバー1」となったと発表した。電池技術の特許出願人の世界上位10社中7社が日本を拠点とする企業だという。両者が発表した電池技術に関する共同調査研究「EPO-IEA Battery Study」において明らかにした。
- 全固体電池内部のリチウムイオン移動抵抗を可視化
パナソニックは、ファインセラミックスセンター(JFCC)および、名古屋大学未来材料・システム研究所と共同で、全固体電池の充放電中におけるリチウムイオンの動きを、ナノメートルの分解能でリアルタイムに観察する技術を開発した。
- モニターしたい物に付けるだけ、IoTモジュール
TDKは「embedded world 2020」(2020年2月25〜27日、ドイツ・ニュルンベルク)で、間もなく発売予定のIoT(モノのインターネット)モジュールや、オールセラミックの全固体電池「CeraCharge」などを展示した。
- 太陽誘電、2021年度中に全固体電池を量産開始
太陽誘電は、全固体リチウムイオン二次電池(全固体電池)を開発した。2020年度中にサンプル出荷を始め、2021年度中に量産を開始する予定である。
- 全固体電池市場、2035年に約2兆6700億円へ
全固体型リチウム二次電池の市場規模は、2035年に約2兆6700億円へ――。富士経済が予測した。
- 全固体電池とワイヤレス給電をモジュール化
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