自動運転車の急速な発展とより優れた安全特性への需要の高まりから、感度が高く正確な車載用レーダー技術の必要性は高まっている。今回、こうした高性能のADAS(先進運転支援システム)の開発をサポートする新たな「レーダーマルチターゲットシミュレーター」を開発したキーサイト・テクノロジー(以下、キーサイト)の担当者に話を聞いた。
自動運転車の急速な発展とより優れた安全特性への需要の高まりから、感度が高く正確な車載用レーダー技術の必要性は高まっている。今回、こうした高性能のADAS(先進運転支援システム)の開発をサポートする新たな「レーダーマルチターゲットシミュレーター」を開発したキーサイト・テクノロジー(以下、キーサイト)の担当者に話を聞いた。
英国の市場調査会社IHS Markitによれば、2020年には新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受けてマイナス成長となるものの、レーダーセンサー市場では自動運転の普及トレンドが引き続き強く、2021年には2019年を上回る規模に拡大した後、少なくとも2026年まで継続的な成長が見込まれているという。こうした市場拡大に合わせてキーサイトではこれまで、まず登場してきた76G〜77GHz帯のレーダーモジュールの評価に向けてレーダーターゲットシミュレーター(RTS)「E8707A」を開発。その後、高分解能を求めて主流となってきた77G〜81GHz帯にも対応した「E8708A」も市場投入し、そのニーズに応えてきたとしている。
今回、同社が新たに開発したレーダーマルチターゲットシミュレーター「E8718A」では、これまで装置に直接取り付ける形だったアンテナを、本体とケーブルでつなぐ「リモートヘッド」へ搭載する形式にしたことで評価の時間短縮、経費削減を実現している。さらに、最大3つのリモートヘッドを接続可能とし、3つのターゲットを同時にシミュレートすることもできるようになったという。なお、対応する周波数帯はE8708Aと同様に77G〜81GHz帯(帯域幅4GHz)および76G〜77GHz帯(帯域幅1GHz)だ。
レーダーシミュレーターを用いてレーダーモジュールの評価を行う場合、実験室の壁や装置などがレーダーを反射しないよう、電波吸収材で壁を覆ったり、装置を周りを囲ったりする必要がある。しかし、アンテナを直接機体に取り付けていた従来の装置では、「角度を変えて評価する場合 、装置と壁の電波吸収材を毎回調整する必要があったほか、本体もそこそこの大きさがあるため、移動させることも手間となっていた」という。そこで、今回、同社は新たに本体とケーブルを介して接続するリモートヘッドを用いる形態を採用。これによって評価環境の構築、変更を容易にした。
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