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同時に3対象を模擬するRTS、評価時間とコストを削減IEEE 802.3ch対応のコンプライアンスソフトも(2/2 ページ)

» 2020年10月29日 09時30分 公開
[永山準EE Times Japan]
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3つの対象物の同時に検証

 また、リモートヘッドはアンテナの数(送受信に分けアンテナを2つ搭載したタイプか、送受信共用のアンテナを1つ搭載したタイプ)やアンテナの向き(本体に対して水平か平行)に分けて計4種類が用意されている。同社の担当者は、「例えばレーダーモジュールを床面に水平に置き、上側に装置を置くというような評価環境では垂直方向のリモートヘッドを用いるなど、顧客の評価環境や評価内容に合わせてカスタムできる」と説明。また、アンテナ数については、「アンテナ1つより2つで送受信を行う方が電気的特性は向上する一方で、2つのアンテナを置くと厳密にはその分の位置の誤差が生じる。顧客がより厳密な電気特性を取るか、位置精度を取るかなど、キーサイトのエンジニアが打ち合わせして提案する」と説明している。

 接続できるリモートヘッドについては、具体的にはまず、目標物までの模擬距離を4〜300m(設定ステップは0.1m)まで自由に設定できるもの(Channnel 1)がある。この距離精度は±0.3mで、0.5mのケーブルが利用できる(オプションで2.0mケーブルあり。その場合の模擬最小距離は6m)。

 ここに2つ(Channel 2、3)を加えることによって±90度の範囲で3つの対象物を模擬した検証が実施可能になる。なお、Channel 2、3については顧客の定義に応じ、工場出荷時に6〜300mの範囲で模擬距離が固定される(ケーブルは2m)。さらに、オプションでドップラーシミュレーションの設定も可能で、対象物がある速度で近づいたり、遠ざかったりするといった状態も模擬できる。設定可能な速度は±360km/時(設定ステップは0.1km/時)で、精度は±0.05km/時だ。

左=レーダーセンサー市場動向/右=キーサイト・テクノロジーはの既存製品の概要 (クリックで拡大) 出典:キーサイト・テクノロジー

 E8718Aは既に提供を開始しており、概算価格はシングルターゲット構成(本体+リモートヘッド1つ)が1800万円から、マルチターゲット構成(本体+リモートヘッド3つ)が3800万円からだ。同社は、「これにより車載用エレクトロニクスメーカーはさまざまな現実的なシナリオにおいて、自信をもってレーダーターゲットをシミュレートすることが可能になる」としている。

IEEE 802.3ch用コンプライアンステストに「初めて対応」

 次世代のADASにはレーダーシステムや高分解能カメラが必要となるが、その実現にはさらなるスピードと帯域幅も求められる。同社は今回、そうした高速データ通信を可能とする車載イーサネットチャンネルのテストソフトウェアも新たに開発している。

 同社ではこれまで100BASE-T1(100Mビット/秒(bps):IEEE 802.3bw)および1000BASE-TI(1Gbps:IEEE 802.3bp)に対応したソフトウェアを提供していたが、今回さらにCANの置き換えと目される低速の10BASE-T1S(10Mbps:IEEE 802.3cg)やマルチギガ対応(2.5G、5G、10Gbps:IEEE 802.3ch)にも対応。同社が提供するベクトルネットワークアナライザ―「M980xx PXI VNA」や「P5005A Streamline USB」「E5080B ENA」をサポートしており、1つのソフトウェアで4規格全てのコンプライアンステストが可能となった。

車載イーサネットチャンネルのテストやテストソフトの概要 (クリックで拡大) 出典:キーサイト・テクノロジー

 ソフトウェアの概算価格は60万円から。同社は、「これによりキーサイトはIEEE 802.3ch用のコンプライアンステストを提供する初めての会社となる」としている。

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