Clara Imagingは、AIによる医用画像の分析や診断支援のためのソフトウェアツール。肺などさまざまな臓器を分類する機能を中心として、多くの事前学習済みモデルを備えており、このモデルに基づきAIで簡単にアノテーションを済ませることが可能としている。さらに研究開発後、臨床での使用へと進める際、効率的に運用するためのフレームワークも提供している。山田氏は、「通常、何十、何百時間が必要な教師データ作成が数十分の一の時間で実現できる。AIの垣根を下げ、非専門家でも医療画像の研究が可能となる」と語っている。
NVIDIAは既にClara Imagingを用いた共同研究を国内でも複数進めているという。具体的には、大阪大学歯学研究科との口腔がんの早期発見AIの開発や、自衛隊中央病院とのCT画像および臨床データを利用した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化予測などを進めている。
また、この医療画像の分野においては、データの機密性を保持しながら多施設のデータでAI学習を行う「分散型連合学習」が重要とも説明。データを1カ所のセンターサーバに集めるのではなく、センターサーバ側がAIモデルを各施設に配布して、各施設で学習したモデルの「重み」のみをセンター側に集め、その平均を適用しモデルを更新。更新後のモデルを再び各施設に配布するという流れを繰り返す「Clara Federated Learnig」を用いることで実現できるとしている。
このClara Federated Learnigは、胸部X線画像を用いてCOVID-19の重症化を予測するAIを開発する国際的な研究プロジェクトにも活用されている。8カ国20機関が参加するプロジェクトであり、山田氏は「レントゲンを用いてCOVID-19の重症化が予測できれば、発展途上国や、クリニックレベルでも予測ができるようになる」と期待を示していた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.