Clara Parabricksは、ゲノム配列データの解析を支援するソフトウェアツール。CPUであれば2日かかっていたという一人分のヒトゲノム配列データの解析が「最新のGPUとParabricksの組み合わせて、22〜23分でできるようになった」という。山田氏は、「何十万人単位の全ゲノム解析を行う場合、CPUであれば専用スパコンセンターを立ち上げないといけなかったが、GPUサーバとClara Parabricksであれば、せいぜい20〜30台もあれば何万人、何十万人といった規模のゲノム解析ができる」と強調していた。
Clara Parabricksも既に世界のさまざまなプロジェクトで活用されている。日本でも東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターにおいて、血液がんの患者の全ゲノム解析に活用。ここでは、従来CPUサーバを20〜30台並列で使用しても10時間以上かかっていた解析が、GPUサーバ2台で1時間45分以内で完了するようになったという。
Clara Guardianでは、体温確認やソーシャルディスタンス検知のほか、患者のモニタリング、手術の分析など病院内でエッジAIによる各種モニタリングをサポート。ここでもさまざまな学習済みモデルや最適化されたSDKを提供するなど、「さまざまな企業が早期に臨床で使用できるようなアプリケーションを作ることができるフレームワークだ」と説明している。
Clara Discoveryはコストの増加および成功確率が低下する創薬分野を支援するプラットフォーム。研究者がターゲットの発見から化合物の構築、反応の開発に至る、次世代の創薬プロセスを定義できるようになることを想定した学習済みAIモデルやアプリケーション固有のフレームワークを実装している。
自然言語処理についても、生物医学分野の学習済みモデルを有しており、このモデルの活用によって1時間あたり100件提出されているという大量の論文から、「AIによって効率よく知識を抽出するという分野でも貢献している」という。
NVIDIAはこの製薬分野で英国のGSKの研究所と提携。GSKを含む英国の製薬企業に向けて同社のスーパーコンピュータ「Cambridge-1」を開発している。Cambridge-1は最新GPU「NVIDIA A100」を搭載したAIシステム「NVIDIA DGX A100」80台が「NVIDIA Mellanox InfiniBandネットワークによって接続されており、400PFLOPS以上のAI性能と8PFLOPS以上のLINPACK性能を持つとしている。
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