さて、ここから後半になります。
私は、ビットコインの根幹技術は、以下の6つと認識しています(ブロックチェーンは、(A)〜(D)の4つ)。
そんでもって、(A)〜(D)については、解説をサボらせてもらおうかと思っています。
理由はいくつかあるのですが、
(1)「ビットコイン」とか「ブロックチェーン」の名前が付与された書籍であれば、必ず解説がされていて「今さら、解説することあるかな?」と思ってしまったこと
(2)それらの技術は、多くの人にとっては気が付かないだけで、日々使い倒している技術であり(例えば、”https://”の利用等)、それ故、解説がしにくいこと、そして、
(3)特に、ここ1〜2年の間、某クラウドでの開発、実装、運用で、結構な”修羅場”を体験してきて、個人的に腹を立てていること*)(本当に個人的理由ですが)
に因ります。
*)例えば、最近ならこれなど
というわけで、今回も(そして、いつも通り)、もっぱら私に興味があることを、もっぱら私のためだけに検討した内容についてのみ、お話したいと思います。
前回、「(E)コンセンサスアルゴリズム」については、バーっと説明しましたので、今回は「(F)の半減期」について、同じくバーっと、私らしく説明したいと思います。
さて前回、ビットコインのマイニング(発掘)が、電力とコンピュータのリソース(それも、単なる乱数生成計算)を消費するだけの、旗取りゲームにすぎず、その旗を取った者に、単なる”数字”が付与されるだけのこと ―― 一体どこが”発掘”やねん! と突っ込みそうになる代物である ―― というお話をしました*)。
*)ちなみに、私、この旗取りゲームが「乱数生成計算」ではなく、ゲームの度にお題が代わる ―― 例えば、『現時点における、○○地区の人身事故による交通ダイヤ回復の最適計画の計算』というものに使われるような仕様になっていれば、ビットコインの仕組みを社会に定着させるために、私の人生をささげても構わない、と思っているくらいです。
私が心底腹を立てていることは、「数当てゲーム」ごときのために、一国分に相当する電力が消費され続けて、コンピュータリソースが食いつぶされていることです。
しかし、誰でも「マイニング」に参入できて、ゲームの勝者を公平に維持するのであれば、「数当てゲーム」くらいしか、やりようがないことも分かってはいるのです ―― 本当に悔しいのですが。
さて、半減期の話に戻ります。
ビットコインにおける「半減期」とは、ブラック企業も真っ青の、驚愕動転(きょうがくどうてん)の給与形態にあります。
―― 勤続年数が増えれば、給料がどんどん減っていく
つまり、上記の旗取りゲームによる賞金が、おおむね4年単位で、きっちり半分になる(ように設計されている)のです。
なぜだ! 理不尽だ! ストライキだ!! と叫んでも無駄です。それはビットコインという仕組みに組み込まれていて、変更することができないからです*)。
*)まあ、公開されているソースコードをハックすることはできますが、マイニング(旗取りゲーム)に参加できなくなるので、意味ありません。
この半減期のタイミングで、ビットコインの発行量も半分になります。
ここで結構勘違いしてしまう人も多いと思いますが(私もそうでした)、発行量が半分になる理由は、ビットコインのマイニング(旗取りゲーム)の勝負の内容が難しくなるとか、そういう訳ではありません。
勝負の時間は、マイナー(発掘者)が増えようが、減ろうが、”約10分間”で調整されつづけます*)。これは、ビットコインの発行開始から終了まで変わることはありません。
*)この”約10分間”をキープするために、ゲームの内容を難しくしたり、簡単にしたりすることはあります。といっても、そのやり方は簡単で、例えば、これまで「上3桁の数が”000”になったら勝者」とした条件を、これからは「上4桁の数が”0000”になったら勝者」とだけ変更すれば、「難しく」できます。
しかし、半減期ごとに発行される賞金(BTC)が半分になるので、その結果として、ビットコインの発行量も半分になってしまうのです。
なぜビットコインがこんなこと(半減期)を設けているかというと、(1)ビットコインの通貨量を2100万BTCで打ち止めとするためと、(2)その打ち止めまでの時間を可能な限り引き延す作戦のためです。
いつも通りの仕事をやっているのに、4年後には給料を半分にさせられる ―― 誰が、こんなゲームをやり続ける? と思って調べてみたら、今や、電力の安い中国の奥地だけでなく、今頃になって欧州や日本で参入している法人もいると知り、目を疑いました。
―― おーい、みんな正気かぁーー?
って、普通、思いますよね*)。
*)もっとも、参入しているのはビットコインではなく、他の仮想通貨(イーサーリアムなど)である場合は、ちょっと話は変わってきます(ビットコインは、世界中にある1000種以上の仮想通貨の一つです)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.