複数の報道記事によると、Uberは、同社の自動運転車開発部門であるATG(Advanced Technology Group)の売却を検討しているようだ。一方でUberは、ATGを売却するのではなく、より多くの投資家やパートナーを探しているのではないかとの見方もある。さらにはAuroraが、UberのATGを買収するための交渉を進めている可能性もあるという。
このようにさまざまな臆測が飛び交っているのは、それが自動運転車業界に大きな影響を及ぼす可能性があるからだ。ただ、AuroraがUberのATGを買収するにあたり、状況を複雑化する要素が幾つか挙げられる。まず、Auroraは従業員が600人超の小規模な企業であるのに対し、UberのATGは約1200人もの従業員を抱えているという点がある。
また、Uber ATGは2019年4月に、10億米ドルもの大規模な資金提供を受けている。その内訳は、トヨタ自動車が4億米ドル、デンソーが2億6700万米ドル、ソフトバンクが3億3300万米ドルで、これら3社の企業が、ATGの約14%の所有権を獲得することになった。このためUber ATGの企業価値は、2019年4月時点では約70億米ドルだったが、現在はそれよりも下がっている可能性がある。一方、AuroraがVC(ベンチャーキャピタル)から調達した資金は約7億米ドルで、その評価額は30億米ドル規模だ。このように企業規模や評価額が異なることから、AuroraがUber ATGを買収するのは難しいとみられている。もしこの買収が実現したとしても、「Win-Win」の関係になるのだろうか。引き続き今後の報道に注目していきたい。
パナソニックは2020年11月18日、ノルウェーのEquinor(エクイノール)、Hydro(ノルスク ハイドロ)と、欧州電池市場で競争力のある事業を展開するための戦略的パートナーシップに関する覚書に署名したと発表した。3社は2021年夏に向け、欧州のリチウムイオン電池市場を合同で調査し、ノルウェーにおける電池事業のビジネスモデルを成熟させていくとしている。Equinorは、ノルウェー最大の石油会社であり、洋上風力発電事業でもリーダー的地位を確立している。
現在Teslaが、ドイツのベルリンにBEV(バッテリー式電動自動車)工場を建設していることから、有望なチャンスを得られそうだ。欧州では現在、BEVの売上高が急激に増加しており、自動車1台当たりの平均的な電池サイズが年々拡大していることから、電池需要も急成長している。
現在、世界中の自動車メーカーが、電気自動車(EV)分野への資金提供を増加させている。その一例として挙げられるのが、GMだ。同社は最近、電気自動車の普及を加速すべく、EVや自動運転車技術への投資を増やしていくと発表している。また、同分野への投資金額についても、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック以前の計画では200億米ドルとしていたが、最近、270億米ドルに増加する予定であることを明らかにした。
これら全ての取り組みを進めていく上で重要な鍵となるのが、電池技術の進歩だ。GMの次世代電池パック「Ultium(アルティウム)」は2020年半ばまでに、既存品と比べてコストを60%削減し、エネルギー密度を2倍に高められる見込みだという。また同社は、韓国のLG Chemとの協業によって、自社専用の電池工場を建設しており、2022年には製造を開始できる予定だとしている。
GMのUltiumプラットフォームは、普及価格帯の自動車から高級車まで、あらゆる同社製自動車をカバーするビルディングブロックだ。GMは、Ultium技術を他社にもライセンス供与することで展開を拡大し、単価を下げたい考えだという。
これは、BEVが一部の自動車業界の計画よりも速く成長を遂げているということを示すのではないだろうか。自動車業界ではここ3年の間に、BEVの将来的な成功に関する認識の仕方が、大きく変化してきている。さらに前向きなBEVの未来について、見方を変えていく必要がある。
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