導電性接着剤で実装可能なチップNTCサーミスタ : 1608、1005サイズ
TDKは2020年12月1日、導電性接着剤を用いて実装できるチップNTCサーミスタの新製品「NTCSPシリーズ」を開発したと発表した。AEC-Q200に準拠し、−55〜150℃という幅広い温度に対応しているので、車載機器をはじめさまざまなアプリケーションに使用できる。
「NTCSPシリーズ」 画像:TDK
TDKは2020年12月1日、導電性接着剤を用いて実装できるチップNTCサーミスタ*) の新製品「NTCSPシリーズ」を開発したと発表した。AEC-Q200に準拠し、−55〜150℃という幅広い温度に対応しているので、車載機器をはじめさまざまなアプリケーションに使用できる。
*)温度が上がると抵抗が下がるという性質を利用し、対象物の周囲の環境温度を非接触で測定する温度センサー。
TDKの従来品である「NTCGシリーズ」は、端子電極にAg(銀)を採用し、Ni(ニッケル)とSn(スズ)でめっきする構造で、基板にはんだで実装する。それに対し、NTCSPシリーズは端子電極にAgPd(銀パラジウム)を採用することで、はんだではなく導電性接着剤による実装を可能にしている。これにより、はんだ付けよりも低い温度での実装や、フラックス洗浄が不要になるといったメリットがある。
TDKは、「はんだ融点以下での実装が求められる基板や、実装後のフラックス洗浄が難しい基板、実装後にはんだ融点以上の高熱を加えるプロセスがある基板などに、チップNTCサーミスタを実装しやすくなる」と説明する。
左=チップNTCサーミスタの構造。新製品の端子電極にはAgPdが採用されている/右=実装方法の比較。導電性接着剤で実装できるNTCSPシリーズは、実装プロセスがよりシンプルになる 出典:TDK(クリックで拡大)
NTCSPシリーズのラインアップは、サイズが1.0×0.5mm(1005サイズ)と1.6×0.8mm(1608サイズ)。それぞれについて、10kΩ、47kΩ、100kΩの3種類の抵抗値(25℃)を用意した。TDKによると、今後2.0×1.25mm(2012サイズ)や、抵抗レンジをより低抵抗、またはより高抵抗に拡張した品種、温度を170℃対応にした品種などを追加していく予定だという。
TDKのチップNTCサーミスタのラインアップ。背景が黄色のところが、今回発表したNTCSPシリーズ 出典:TDK(クリックで拡大)
NTCSPシリーズでは、まずは車載機器をターゲットとする。「自動車業界から、導電性接着剤で実装したいというニーズがあった。現状、車載向けでは1608サイズのNTCサーミスタが最も使われているが、今後は1005の採用も増えていくとみている。先を見越して、NTCSPシリーズでは1608だけでなく1005のラインアップも用意した」(TDK)
NTCSPシリーズのターゲットアプリケーション。赤枠は、導電性接着実装による高寿命化が特に期待できるもの。「導電性接着剤で実装するチップNTCサーミスタへの需要は、自動車など高い信頼性を求められる用途で増えていくと考えている」(TDK) 出典:TDK(クリックで拡大)
NTCSPシリーズのサンプル単価は15円(本体価格)。生産は、まずは200万個/月の規模で、2020年10月に開始している。
3225サイズで47μHの車載用インダクター、TDKが量産
TDKは2020年10月13日、車載用電源系インダクター「BCL」シリーズとして3.2×2.5×1.5mm(3225サイズ)の「BCL322515RTシリーズ」の開発を完了し、量産すると発表した。磁性材料に金属を用いていながら、3225サイズで47μH(1MHz時)という高いインダクタンスと0.72A(標準値)の飽和電流を実現したことが最大の特長だ。
TDKが大容量の車載用MLCCを発表、従来比2倍
TDKは2020年9月29日、車載用積層セラミックコンデンサー(MLCC)「CGA」シリーズの新製品として、2012サイズ(2.0×1.25×1.25mm)で22μF/定格6.3V、3216サイズ(3.2×1.6×1.6mm)で47μF/定格4Vという大容量を実現した2品種を発表した。いずれも既に量産を開始している。ECU(電子制御ユニット)の電源ラインの平滑およびデカップリングの用途に向ける。
125℃で連続使用可能な新フィルムコンデンサー技術
TDKは、オンライン開催となったパワーエレクトロニクス展示会「PCIM Europe digital days 2020」(2020年7月7〜8日、ドイツ時間)に出展。125℃の高温でも連続使用できる新たなフィルムコンデンサー技術について紹介した。同社は、「新たな誘電体によって高温での小型化や高耐電圧化および、動作温度や許容電流負荷の増加を可能とする」と説明。次世代パワー半導体であるSiC(炭化ケイ素)などを用いた、高温や大電流負荷への対応が必要となるアプリケーション向けの新製品を2021年に量産開始する予定としている。
大真空、高安定で低消費電力の小型OCXOを開発
大真空は、5G(第5世代移動通信)基地局用装置などに向けて、小型で消費電力が小さいOCXO(恒温槽付水晶発振器)「DC7050AS」を開発した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.