ルネサス エレクトロニクスは、ルネサス製IPを活用して、顧客が独自のマイコンなどを容易に開発することができるソリューション「IPユーティリティー」の提供を始めた。IP製品のライセンス事業を拡大するのが狙い。
ルネサス エレクトロニクスは2020年12月、ルネサス製IP(Intellectual Property)を活用して、顧客が独自のマイコンなどを容易に開発することができるソリューション「IPユーティリティー」の提供を始めた。IP製品のライセンス事業を拡大するのが狙い。
同社は、2018年よりIPライセンス市場に進出。これまで80種類以上のIP製品を用意してきた。多くの導入実績を持つCPUコアに加え、周辺機能も含めさまざまなIPソリューションを提供できるのが同社の強みである。顧客はIPユーティリティーを活用することで、独自の機能を盛り込んだマイコンやSoCの設計/開発期間を短縮し、早期の市場投入が可能となる。
提供を始めるIPユーティリティーは、「アプリケーションパッケージ」や「アーリーアダプターキット」「IPコアのコンフィギュレーション容易化ツール」「製品仕様検討向けTCAMフロントエンドライブラリ」および、「ノイズ(EMC)の設計コンサルティング」などである。
例えば、アプリケーションパッケージでは、12軸のステッピングモーター制御に向けたCPUコアとその周辺IP、モーター制御用IPを標準で搭載した「12軸モーター制御パッケージ」を第一弾として用意した。軸数やブラシレスDCモーター制御への変更、別のCPUコア搭載など、用途や目的に応じたカスタマイズも可能である。
アーリーアダプターキットを用いると、AIアクセラレータコア「PIM(Processing in Memory)」の早期評価が可能となる。PIMは、電力効率が8.8TOPS/Wと高いIP製品で、2021年に出荷を予定している。制御ボードには「Raspberry Pi」を活用し、PIM機能は最大3枚までスタック可能な構成となっている。
IPコアのコンフィギュレーション容易化ツールは、IPの仕様や最適なパフォーマンスを検討するために有効なツールである。第一弾として、PCI Expressコントローラコア向けのツールを用意する。
この他、ノイズ設計コンサルティングも行う。端子配置やボード設計、部品配置など、システム開発の上流工程でノイズ対策を十分に行うことで、設計のやり直しなどを軽減することが可能となる。
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