モバイル通信分野では今後数年の間に、重要なテーマの1つとして、「セルラー/Wi-Fiは、6GHz帯のミッドバンドへのアクセスを支配するようになるのか」という点に注目が集まるとみられる。
モバイル通信分野では今後数年の間に、重要なテーマの1つとして、「セルラー/Wi-Fiは、6GHz帯のミッドバンドへのアクセスを支配するようになるのか」という点に注目が集まるとみられる。
この課題については、これまで長期にわたり、「5G(具体的には5G NR [New Radio])に重要な周波数を割り当てることにより、ユーザーが次世代セルラーの恩恵を十分に享受できるようにすべきだ」と主張する団体と、「この課題は既に、免許不要周波数帯(アンライセンスバンド)のWi-Fiネットワークのプロバイダーを支持することで解決済みだ」と主張する団体との間で、論争の争点となっていた。
合計23社の通信事業者およびセルラーインフラプロバイダーから成る推進グループは2020年12月末に、GSMAの支援を受け、6GHz帯の中でも極めて重要な5925MHz〜7125MHzをめぐる割り当てについて発表した。
同グループのメンバーの顔ぶれは、いつもと変わらず、機器分野からはEricssonやNokia、Huawei、ZTEが、そして通信事業者としてはOrangeやTelefonica、Teliaなどの他、中国の通信事業者の大半が参加している。
通信事業者の中で注目すべき例外としては、AT&TやVerizon、英国のBTなどが挙げられる他、機器メーカーとしてはSamsung ElectronicsやNECなどがある。また、Open RANの支持者たちが参加していることについては、それほど驚くようなことではないだろう。
同グループは、「既に5G向けに割り当てられている帯域では、未来のニーズに十分対応することができない。通信事業者たちが将来的に、IMT*)を高いコスト効率で展開していくためには、ミッドバンド帯においてもっと大規模かつ連続的なチャンネルが必要になるだろう」と強調している。
*)IMT(International Mobile Telecommunication):各国が使用する携帯電話周波数の総称のようなもの。WRC(世界無線通信会議)は、「IMT」という名称の下で、セルラー周波数を共通化しようとしている(参考:NTTドコモ)
商用5Gは現在のところ、そのほとんどが3.3GHz〜3.8GHz帯のミッドバンドにおいて展開されている。一部の国では、サブ1GHz帯のローバンドを再構築しているケースもある。また、特に米国や日本などのように、これまでミリ波(mmWave)を重要視してきた国も数カ国ある。これによって5Gの対応範囲を拡大することはできるが、通信事業者は、現在議論されている一部の新しいユースケースに必要とされる、高容量や高いデータ伝送速度を今後提供していく上で、より高い無線周波数帯域へと移行する必要があるだろう。
もちろん、Wi-Fi推進団体も、より高い周波数帯の必要性を主張する上で、同様の論法を用いてきた。Wi-Fiに関しては、アンライセンスバンドを用いて提供するため、その社会的利益を強力に主張できるという強みがある。
実際に問題となっている周波数は、一般的に壁の通り抜けには不向きとされる、標準的な屋内帯域であるようだ。
また重要なのは、推進グループが、「ITUは既に、2023年に開催予定の世界無線通信会議(WRC-23)において議論するための課題を準備し始めている」と主張したという点である。代表者たちは、5G向けにこれらの周波数を使用することの実現可能性について議論する予定で、既に準備を進めているところだという。例えば、技術パラメータやチャネルモデリングなどを、2022年半ばまでに完成させる予定だとしている。
さらに、推進グループは「現在のところ、規制当局がこれらの重要な帯域を割り当てるために行っている地域的アプローチは、それぞれが大きく異なっている。しかし、どの地域も、IMT定義によるメリットを享受することができる」と主張する。
米国では、FCCが2021年1月初めに、Wi-Fiでの使用向けに割り当てられた6GHz帯について、部分的に検討する規則案を発表している他、欧州では、欧州郵便電気通信主管庁会議(CEPT:European Conference of Postal and Telecommunications Administrations)が、2021年後半から、ライセンスが免除されたWi-Fi向けとして、6GHz〜5925MHzの低周波数帯を6425MHzに割り当てることを決定している。
また、CEPTは現在、より高い6425M〜7125MHz帯を使用するという選択肢も検討しているという。
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