TDKは2021年2月16日、NFC(近距離無線通信)用インダクター「MLJ-H1005」シリーズを開発したと発表した。アンテナとのインピーダンス不整合による損失を抑えるために、±5%という狭い公差を実現している他、既存品の「MLJ1005W」シリーズに比べ、交流抵抗(Rac)を低く抑えることに成功した。
TDKは2021年2月16日、NFC(近距離無線通信)用の積層チップインダクター「MLJ-H1005」シリーズを開発したと発表した。
MLJ-H1005は、スマートフォンやウェアラブル端末などに搭載されているNFC回路のLCフィルターに使用されるもの。アンテナとのインピーダンス不整合による損失を抑えるために、±5%という狭い公差を実現している他、既存品の「MLJ1005W」シリーズに比べ、交流抵抗(Rac)を低く抑えることに成功した。
NFC回路のLCフィルターでは、アンテナ出力の低下を防ぐため、NFCが利用する周波数帯である13.56MHz帯でのインダクター損失をできるだけ抑制することが重要になる。MLJ-H1005シリーズは、大電流を流した際にも低Racを維持することに成功した。TDKは「Racは、インダクターの材料であるフェライトの組成や添加物によって大きく変わる。今回、フェライトを新たに開発することで、低Racを実現した」と説明した。
MLJ-H1005シリーズの構造は積層タイプだが、競合他社のNFC用インダクターは巻線タイプとなっている。TDKは積層タイプの利点について「小型で低コストの他、磁束漏れを抑えられること、積層型はプリントでパターニングするという工法なので、例えば10nH、12nHといったように細かいラインアップを作りやすいことなどが挙げられる」と述べた。
MLJ-H1005シリーズは、インダクタンスが異なる5品種(82nH〜200nH)をそろえている。サンプル単価は30円。5品種全てで量産を開始していて、まずは月産200万個の規模で生産する。
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