レアアースメタルとその合金は、充電式電池や携帯電話機、磁石、蛍光灯など、私たちが日常的に使用するデバイスの多くに使用されている。しかし、希少資源や需要の多い資源と同様に、レアアースのサプライチェーンは国際的な政治問題に巻き込まれている。個人用携帯電話機が普及し、コンピュータ部品へのレアアースの使用が拡大したことで、レアアースの需要は過去20年で爆発的に増加した。
レアアースメタルとその合金は、充電式電池や携帯電話機、磁石、蛍光灯など、私たちが日常的に使用するデバイスの多くに使用されている。しかし、希少資源や需要の多い資源と同様に、レアアースのサプライチェーンは国際的な政治問題に巻き込まれている。個人用携帯電話機が普及し、コンピュータ部品へのレアアースの使用が拡大したことで、レアアースの需要は過去20年で爆発的に増加した。
問題をさらに複雑にしているのは、レアアースは精密誘導兵器やGPS機器などに使われ、国防産業において大きな役割を果たしているが、世界の供給の大部分を中国が支配していることだ。ここ数年、代替品への関心が高まっているが、中国が最近、レアアースの管理の厳格化を進めていることで状況はさらに悪化している。こうした中、電子機器の未来はどうなるのだろうか。
レアアースメタルに分類される元素は、その名前が示すように地殻でめったに見つからないというわけではないが、抽出可能な濃度で見つけるのは難しい。米国やオーストラリア、ブラジルなども埋蔵量は多いが、中国は世界のレアアース生産量の60%以上を占め、世界の埋蔵量の約30%となる推定9900万トンを管理している。
2020年は、レアアースの輸出が過去5年で最低水準を記録した。中国政府は2021年1月下旬に、企業に対しレアアースの輸出入に関する法や規制に従うことを義務付ける法案を発表した。これは、軍事利用される可能性のある中国の技術の輸出を禁止する政策を拡張したものである。
これは、パートナーのネットワークを構築し、技術面でより大きな支配権を握ろうとする米国の取り組みへの対応であり、米国との緊張関係がさらに悪化するのではないかと多くの人が推測している。
政治的緊張に反応して中国や他の国々がサプライチェーンを規制することは、目新しいことではない。中国は2010年に、領土問題をめぐって日本へのレアアースの輸出を制限した。今回の輸出規制は2021年12月までに法制化される可能性が高い。だが、これらの制限が計画通りに進まない可能性もある。2010年の日本に対する制限では、日本がオーストラリアと提携したことで、世界の鉱業生産に占める中国のシェアは98%から現在の60%程度に下落した。
実際、歴史的に見ても、これまで政治的制裁措置という形でサプライチェーン管理が実行されることにより、中国製以外の製品が評価を上げ、採掘/処理能力を拡大するための資金投入が可能になっている。
また、これまで長期にわたり、供給の確保が求められてきたことから、米国とオーストラリアは既に、代替となるサプライチェーンの構築に向けて協業しているところだ。
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