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ミリ波で周辺の機器を無線充電、米新興企業が開発24GHz帯で他規格との干渉なし(2/2 ページ)

» 2021年03月11日 14時15分 公開
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「24GHz帯は優れた帯域」

 Bohn氏は、「用途例の1つとして挙げられるのが、産業/自動車市場だ。同市場では、特に温度調節や座席、シートベルト検知などに使用するセンサーを、何かと煩わしい有線接続を使わずに動作させる必要がある。当社の技術を適用すれば、このようなセンサーを動作できるだけでなく、一部の機能を統合することも可能なため、センサーの配置場所や、ドアの開閉状態などを感知することができる」と述べている。

 「24GHz帯は、非常に優れた帯域である。最大のメリットの1つとして挙げられるのが、堅牢なPoint-to-Point接続を実現できるという点だ。また、Wi-FiやBluetoothと干渉しないのもメリットだ」(同氏)

 GuRu Wirelessの技術は、効率を最適化するために伝送されるビームの方向や数を制御することもできる。「Smart RF Lensing」技術は、超小型受信機にも複数のエネルギービームを送信することができるため、伝送装置を、デスク上に置いたり壁に取り付けたりできるほどに小型化することも可能になる。またGuRu Wirelessのシステムで、携帯電話機や、さらに小型のIoTデバイス、スマートホームデバイスなども充電できるようになるだろう。

 このようなワイヤレス電力伝送技術は、センサーネットワーク向けとして非常に実用性が高いため、電池を不要にすることができる他、電池の代替品をどこに配置するかが課題となっている全てのデバイスに対し、充電をサポートすることも可能だ。

 ある試作版の1つを天井に取り付けたところ、3m以上離れた場所にあるデバイスに電力を送信することができた他、会議用テーブルの電気スタンドの近くに置かれた複数の携帯電話機を充電することもできたという。

 さらに、部屋から部屋を移動するロボットのローミングを行うことにより、ワイヤレスデバイスの電力需要を感知して、物理的に接触することなく充電することも可能だ。Bohn氏は、「スマートホームなどの一部の分野の他、IIoT(産業用IoT)分野などは全体的に、OTAワイヤレス電力伝送によるメリットを大いに享受できるだろう。もし大量のセンサーを使用する場合、その一つ一つを電源に接続したりケーブルで充電したりしたいとは、誰も思わないだろう。ワイヤレス充電は大きなサポートを提供し、ROI(Return On Investment:投資利益率)を大きく高めることが可能だ」と付け加えた。

 Bohn氏によれば、GuRu Wirelessの充電ユニットの一つは、Apple「iPhone 11」の13Whのバッテリーを、ゼロの状態から2〜3時間でフル充電できるという。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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