ガートナー ジャパンは2021年5月11日、記者説明会を開催し、2021年の半導体市場の予測や、半導体不足解消の見通しについて語った。Gartnerのリサーチ&アドバイザリ部門で半導体/エレクトロニクス・グループのディレクターアナリストを務める山地正恒氏によると、Gartnerは、半導体の供給難は2022年第2四半期に解消するとみている。
Gartnerの日本法人ガートナー ジャパンは2021年5月11日、記者説明会を開催し、2021年の半導体市場の予測や、半導体不足解消の見通しについて語った。
Gartnerのリサーチ&アドバイザリ部門で半導体/エレクトロニクス・グループのディレクターアナリストを務める山地正恒氏によると、Gartnerは、半導体の供給難は2022年第2四半期に解消するとみている。
山地氏は「2021年第1〜第2四半期にかけては、半導体不足がさらに深刻化するだろう。第3四半期、つまり7月以降になり状況はやや改善するものの、依然として厳しい供給難が続くとみている」と説明する。改善の兆しが見え始めるのは第4四半期だ。この辺りから不足感が徐々に和らぎ、2022年に入ると状況が変わっていくという。「2022年は、在庫が安定した状態になっていくだろう」(同氏)
現在、特に厳しい状況にあるのが200mmウエハーを使用するレガシーな半導体製造プロセスを使用するチップだと、山地氏は続ける。「200mmウエハー工場は高い稼働率が続いており、ウエハー納期は下手をすると1年近くになる。生産能力の増強を図ろうとしても、200mmウエハー工場用の半導体製造装置は基本的に中古品で、その中古品も不足している状態だ。そのため、生産量を増加できる余地がない」(同氏)
こうした背景から、国内外の両方において200mmウエハー工場の生産増強には影響があるとする。一方で山地氏は「200mmウエハーの供給先は限られたものになっており、局所的に(200mmウエハーの生産を)増強しても、全体的なキャパシティーの増加にはつながらないと考えている。それよりは、200mmウエハーでの製造から300mmウエハーでの製造へと移管していくことが、本来は正解なのではないか」と指摘した。
車載半導体に関しては、米国テキサス州を襲った大寒波によるNXP SemiconductorsやInfineon Technologiesの工場停止、2021年2月に日本で発生した福島県沖地震によるルネサス エレクトロニクス那珂工場の停電、2021年3月に発生した那珂工場の火災と、災害や事故が続き、半導体不足に対する懸念が深刻化した。
一方で、NXP、Infineonとも2021年3月に工場の稼働再開を発表。Infineonは、停止前の生産量に戻るのは同年6月としている。ルネサスも4月に生産を再開した。山地氏は「ルネサスの生産量回復のペースにもよるが」と前置きした上で、「(自動車分野では、半導体不足が)それほど長くは続かないのではないか」との見解を示した。
「半導体不足は自動車のみならず、他の分野にも波及している。自動車分野は最初に半導体不足に悩む状況になったが、そこから最初に脱出するのも自動車分野だと考えている。一方で、自動車以外の他の分野については、もう少し供給不足が続くだろう」(同氏)
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