ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2021年4月19日、オンラインで記者説明会を開催。3月19日に発生した火災によって生産を停止していた那珂工場300mmウエハーライン(N3棟)で、4月17日に生産を開始したことを明らかにした。
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2021年4月19日、オンラインで記者説明会を開催。3月19日に発生した火災によって生産を停止していた那珂工場300mmウエハーライン(N3棟)で、4月17日に生産を開始したことを明らかにした。
ルネサスの社長兼CEOである柴田英利氏によれば、N3棟では火災前に比べて10%弱の生産能力で生産を再開。「今週中に同30%、4月中に同50%、そして5月中にも100%の生産能力まで回復することを目標にする」と語った。
製造装置については、再調達および既存設備の調整が必要な23台のうち、CMP装置1台と膜厚測定装置1台を除いて、4月中に調達できるメドが立った。膜厚測定装置については5月中にも調達できる見込みだが、CMP装置についてはまだ納期を調整しているさなかだという。なお、前回(3月30日)の記者説明会で「再調達に最も時間がかかる」と述べていたCuめっき装置とAuめっき+Cu/Niめっき装置については、代替先で処理できるメドが立っており、当面は(N3棟において)これらの装置がなくても、火災前比で100%の生産回復は可能だとみている。ただし、生産能力を維持、向上するためにはいずれ再調達する必要性があると付け加えた。
さらに、出荷量ベースの生産再開見通しもアップデートした。前回発表した予定よりもやや後ろ倒しになっていて、これについて柴田氏は「製造装置の調整で時間がかかっている」と説明した。「パーティクルが多いなど、装置内部の環境が理想的ではない状況が続いており、装置用フィルターの交換や装置内部のクリーニングなどを行う必要が出てきたので、当初の目標よりも時間がかかっている」(柴田氏)
ただし、代替生産による製品出荷量が、前回予想よりも速いペースで増加していて、「全体としてみれば、それほど後ろ倒しにはならないと考えている」(柴田氏)とした。
代替生産については、2カ月分を代替生産する場合の外部で生産可能な割合が、前回の90%から98%に増加した。なお、「代替生産先の一部で停電があったが、その影響は?」という質問について柴田氏は、「代替生産そのものについては、大きな影響はないとみている。ただ、当社も2021年2月の福島県沖地震による停電が発生した際にそうだったように、代替生産先でも、仕掛かり品の一部を廃棄せざるを得ない状況になっていることは確認している」と回答した。
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