5Gの展開に向けBasestation-on-a-Chip(ベースステーションオンチップ)とソフトウェアを開発するスタートアップ企業であるEdgeQがサンプル出荷を開始した同チップとPHYソフトウェアの詳細について説明した。
5G(第5世代移動通信)の展開に向け「Basestation-on-a-Chip(ベースステーションオンチップ)」とソフトウェアを開発するスタートアップ企業であるEdgeQがサンプル出荷を開始した同チップとPHY(物理層)ソフトウェアの詳細について説明した。
EdgeQの狙いは、基地局を構成するさまざまなチップを1つのプログラマブルチップに統合して、全体の消費電力と基地局を構築するコストを削減することだ。
EdgeQの評価カードには、同チップの他、ベースバンドとRFコンポーネントが搭載されている。EdgeQのチップに異なるファームウェアを書き込めば、カードのシステムを分散ユニット(DU)から無線ユニット(RU)やアクセスポイント(gNodeB)に変更できるという。
同チップは50コアのシグナルプロセッサを搭載している。この50個のRISC-Vコアは同じもので、ソフトウェアで実装されているPHY層の機能を処理するために動的にプログラムできる。同コアは、Andes Technologyからライセンス供与されたもので、5GおよびAI(人工知能)のワークロードに特化したEdgeQの命令拡張でカスタマイズされている。
EdgeQが追加した命令は、高速フーリエ変換(FFT)や複素変調、非線形関数の近似器、行列分解、等化などの数学演算を高速化する。これらの演算の一部は、5GとAIのワークロードに共通しているため、同チップを使用することで両方を高速化できる。
EdgeQのチップは、NoC(Network on Chip)とRFインタフェース、前方誤り訂正(FEC)アクセラレーション、L2/L3用プロトコルアクセラレータ、セキュアブートも搭載している。Armの「Neoverse」を8コア搭載するホストプロセッサは、ユーザーモニタリングやトラフィック統計、診断、チップに搭載されるソフトウェアのアップグレードなどの制御機能および構成機能を実行する。EdgeQのCEO(最高経営責任者)を務めるVinay Ravuri氏は「(RISC-Vに移行せずに)Armコアを使い続けるのは、ティア1の機器メーカーの顧客が、Arm用に開発したソフトウェアを使い続けられるようにするためだ」と述べている。
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