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「電池でエッジAI」を手軽に実現、ADIオンチップメモリで省電力に(1/2 ページ)

Analog Devices(Maxim Integrated Products)は近年、エッジAI(人工知能)にも力を入れている。それを象徴するのが2021年7月に発表した、エッジAI向けの小型カメラキューブのレファレンスデザイン「MAXREFDES178#」だ。顔認識やキーワード認識などを、コイン電池で実行できるほど低消費電力なのが特長である。

» 2021年10月04日 14時45分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]

 Analog Devices(Maxim Integrated Products)は近年、エッジAI(人工知能)にも力を入れている。それを象徴するのが2021年7月に発表した、エッジAI向けの小型カメラキューブのレファレンスデザイン「MAXREFDES178#」だ。顔認識やキーワード認識などを、コイン電池で実行できるほど低消費電力なのが特長である。

 既報の通り、MAXREFDES178#は、主に顔認識やキーワード認識などの推論を低遅延、低消費電力で実行できる。

「MAXREFDES178#」の外観。外形寸法も41×44×39mmと非常に小型だ[クリックで拡大] 出所:Analog Devices(Maxim Integrated Products)

「エッジAIは小型で省エネ」を分かってもらえない

Analog Devices(Maxim Integrated Products)のKris Ardis氏

 Analog Devices(Maxim Integrated Products)のMicros, Security & Software Business Unitでエグゼクティブディレクターを務めるKris Ardis氏は、開発の背景について「われわれの顧客がエッジAI分野で直面している課題の一つが、自分の上司や自社の幹部に、なかなかエッジAIの実情を理解してもらえないということだ。今やエッジAIは、非常に小型化できて、優れたエネルギー効率で推論を実行できる状況なのに、それを分かってもらえない。それ故、投資を説得することも難しいとの声を聞く。これを解決するのが、MAXREFDES178#だ」と語る。

 MAXREFDES178#には、2枚の基板が搭載されている。1枚は、Bluetooth接続などを管理するコネクティビティ用、もう1枚は、聴覚および視覚推論用の畳み込みニューラルネットワーク(CNN)アクセラレーターを内蔵した低消費電力マイコン「MAX78000」が搭載されている推論用の基板となる。MAX78000は2個搭載されていて、1個は聴覚推論用、もう1個は視覚推論用となる。

MAXREFDES178#のシステムブロック図[クリックで拡大] 出所:Analog Devices(Maxim Integrated Products)

オンチップメモリでの処理で、エネルギー消費を抑える

 MAXREFDES178#の最大の特長は、冒頭で述べた通り、非常に低消費電力で推論できるという点だ。例えば顔認識の推論では、わずか1mA(3mW)しか消費しない。消費電力をこれほど抑えられる主な理由は、外付けメモリを使わず、オンチップメモリで処理を行っているからだ。

 Ardis氏は「AIの演算は、膨大な数の乗算処理で成り立っている。外付けメモリにアクセスしてデータを取得し、それらを掛け算して結果をメモリに保存する。この一連の動作の中で、エネルギーのほとんどは、メモリアクセスで消費されてしまう。そこでMAX78000では、できるだけメモリに近いところで処理を実行し、データの移動距離も最小限に抑えることで、エネルギー消費を抑えられるようにした」と説明する。

 これにより、「極めてローパワーのマイコンと比べても、100倍の速度と、100分の1の電力消費量で推論することが可能だ」(Ardis氏)。推論の精度に関してはモデルの問題なので、顧客がどのようなモデルを使用するかに依存する。「われわれの技術は、エッジAIの推論をより高速に、より低消費電力にする部分だ」(同氏)

左=推論する際のエネルギー消費の割合について、従来のマイコンと比較したときのイメージ/右=システムの主要ブロックの消費電流と消費電力。右側に、顔認識のCNN処理では、1mA(3mW)を消費すると記載されている。表を見ると、推論以外で消費する電力の方が、圧倒的に大きいことが分かる[クリックで拡大] 出所:Analog Devices(Maxim Integrated Products)

 もちろん、オンチップメモリの容量には限度があるので、できるエッジAIの種類には限りがある。「例えば自動運転などには使えない。処理があまりに複雑だからだ。一方でモノの識別や言葉の識別、木などの障害物にぶつからないようにドローンを操作することなどは、オンチップメモリでの処理で十分な用途だ。MAXREFDES178#は、オンチップメモリのサイズでも十分な処理ができるエッジAIを対象にしたカメラキューブだといえる」(同氏)

 なお、MAX78000に搭載されているCNNアクセラレーターの重みは最大で432Kバイトで、AIのタスクの複雑さに応じて、搭載するアクセラレーター数を変えることも可能だ。

「MAX78000」のCNNアクセラレーター[クリックで拡大] 出所:Analog Devices(Maxim Integrated Products)
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