村田製作所は2021年10月12日、脱炭素化の取り組みの一つとして、同社生産子会社の金津村田製作所(福井県あわら市)の使用電力を100%再生可能エネルギー(再エネ)とすることを発表した。工場に導入した太陽光発電システムと蓄電池ユニットおよび、再生可能エネルギー由来の電力調達を組み合わせることで100%を達成する。
村田製作所は2021年10月12日、脱炭素化の取り組みの一つとして、同社生産子会社の金津村田製作所(福井県あわら市)の使用電力を100%再生可能エネルギー(再エネ)とすることを発表した。工場に導入した太陽光発電システムと蓄電池ユニットおよび、再生可能エネルギー由来の電力調達を組み合わせることで100%を達成する。村田製作所は同日、これらの太陽光発電システムと蓄電池ユニットなどを報道陣に公開した。金津村田製作所は、高周波同軸コネクターやDCモジュール、高圧抵抗器、蓄電池システム(ESS)を製造する。使用電力の100%を再生可能エネルギーとする工場は、村田製作所として初めてになる。
金津村田製作所に導入されている太陽光発電システムは屋根置き型とカーポート型の2種類があり、発電容量は合計で638kW。蓄電池ユニットは32台あり、容量は合計で913kWh。これに、電力消費/発電予測/生産管理/気象情報を統合し、エネルギーの使用をリアルタイムで最適化できる、村田製作所独自のエネルギーマネジメントシステムを組み合わせたシステムを活用している。
現在は同システムによる自家発電率は13%だが、2021年11月1日から残りの87%を再生可能エネルギー由来の電力に切り替えて、再生可能エネルギーの使用率を100%とする予定だ。年間の発電電力量は74万kWhで、年間のCO2削減効果は368トンに上るとする。
金津村田製作所では今後、ソーラーパネルを約700kW増設し、自家発電率を約27%に引き上げる予定だ。
村田製作所 社長の中島規巨氏は、「当社グループの年間電力使用量はワールドワイドで2.6TWhにも上る。それに伴い、CO2排出量も、毎年削減を図っているとはいえ、膨大な量となっている。当社は、経済価値と社会価値を循環させることをうたっている。社会価値は、“非財務価値”といわれることも多いが、そうは考えていない。エレクトロニクス産業に携わる企業としては、訴求していかなければならない価値であり、それをビジネスに転換していきたい」と語った。
中島氏は、村田製作所が早い段階から「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)」に対応し、2020年12月には「RE100」(事業で使用する電力の100%を再エネでまかなうための取り組み)への加盟を発表したことにも言及。「徹底した省エネ」「再エネの積極導入と有効活用」「省エネと再エネの不足分を補う再エネ証書」という3本柱により、気候変動対策を強化していると説明した。
省エネの取り組みとしては、投資の回収年数を5年から8年に緩和した他、2021年度から社内カーボンプライシングを新たに導入。「村田製作所らしい取り組み」(中島氏)として、同社の無線センサー技術とIoT(モノのインターネット)技術を活用して新しいエネルギー管理システムを構築し、生産時のエネルギー使用を最適化する取り組みを紹介した。
再エネ推進については、村田製作所の2020年度再エネ調達量は、太陽光発電+再エネ証書購入により、396GWhとなったことを紹介。これは、村田製作所の総電力使用量の15%に相当するという。
村田製作所はRE100の加盟に基づき、2050年までに事業活動で使用する電力を100%、再エネとする方針を掲げている。2020年3月には、生産子会社の岡山村田製作所(岡山県瀬戸内市)が所有する1200台分の駐車場に、カーポート型ソーラーパネルを設置したと発表した。
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