金津村田製作所に導入されている太陽光発電システムは、屋根置き型とカーポート型の2種類。カーポート型に使われているソーラーパネルの枚数は1257枚で、発電容量は383kW。金津村田製作所によれば、これは北陸地方では最大規模だという。金津村田製作所の駐車場の台数は300台で、そのうち167台分の屋根に、カーポート型ソーラーパネルが設置されている。今後は、まだ屋根が付いていない駐車場にカーポート型ソーラーパネルを設置することで、ソーラーパネルを増設する。
蓄電池ユニットには、村田製作所の産業用リチウムイオン二次電池(オリビン型リン酸鉄リチウムイオン二次電池)「Fortelion(フォルテリオン)」を採用。蓄電池ユニット1台当たり、26台の蓄電池システム用バッテリーモジュールを搭載する。32台のユニットで、計9万セルを使っている。
今回のように自家発電して自家消費するタイプの再エネを導入する場合、「あふれさせずに使い切ることが重要」(村田製作所 シニアマネージャー 堤正臣氏)だ。従来のFIT(Feed In Tariff/固定価格買取制度)型の太陽光発電では、電力を作りすぎても問題ないが、今回は余剰発電を使いきることが求められる。そのために鍵となるのが、工場に必要な電力を予測して電池制御を行うエネルギーマネジメントシステムだ。
堤氏は「太陽光発電の変動と消費電力の変動の『W変動』を予測する」と述べる。小型の高周波部品から、大型のESS製品まで手掛ける金津村田製作所は、「1mmから100kgまでの部品を製造する」(同社)こともあり、電力使用量が大幅に変動する工場だ。村田製作所独自のエネルギーマネジメントシステムでは、気象情報や工場の生産管理、発電予測などのデータを用いて翌日の電力使用量を予測し、蓄電池の充放電制御を行う。「できるだけ多くのデータを用いて機械学習で学習させ、予測の精度を上げていく。金津村田製作所のように、秒単位で消費電力が大幅に変動する工場で予測するのは、チャレンジでもある。一方で、金津村田製作所で高精度な蓄電池制御ができるならば、消費電力がもう少し安定している他の工場にも横展開しやすくなる」(堤氏)
なお、金津村田製作所の100%再エネ化に向けた投資額については非公開としたが、「数億円レベル」(堤氏)であることを示唆した。
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