需要増に伴い供給がひっ迫した状態が続いているが、在庫水準は第3四半期においては自社在庫、チャネル在庫ともに増加。自社在庫については、需要増による増産、火災から復旧した那珂工場の生産回復などで、仕掛かり品在庫が増加したために増加。ただ完成品の在庫水準は第2四半期と同水準になった。
チャネル在庫については、需要増に伴う計画的な在庫増に加え、一部のPCメーカーが主要部品の調達難から新たな半導体購入を控える動きが出てPC向け製品の在庫が増加した。柴田氏は「ノートPCは堅調だが、ChromebookやデスクトップPCで(一部部品が足りずに仕掛かりとなった)中間在庫が増えており、(PCメーカーは)これまで何でも買ってくれていたが、(BOMが)そろわないと買ってくれないようになった。今後は俊敏に反応していく」とした。
また柴田氏は「PCやスマホ向けの売り上げ比率は高くないので、それほど大きな影響はない。製品単価が大きい自動車などでは、(顧客メーカー側の)中間在庫は少ない分野であり、PCと同じことが起こらないとみている。自動車や産業、インフラの需要は堅調に続く。心配はいらない」とした。
第3四半期末時点の受注残高は、顧客に2022年末までの長期発注を依頼していることもあり、前四半期末から約4000億円増え、1兆2000億円程度まで上昇した。
受注残にどの程度の二重発注/仮発注が含まれているかという問いに対し柴田氏は「われわれも常にダブルオーダーについては議論を重ね、受注の内容をみてインフレオーダーなどはカットしている。その結果が(約1兆2000億円の)受注残高になっている。仮に(インフレオーダーかどうかの判断で)ジャッジダウンが大きすぎると、(将来的に供給が)足りないことになる。またファントムオーダー(仮発注)があった場合には余ることになるが、それなりにヘアカットしている(=リスク軽減のために受注を差し引いている)ので、大丈夫かなと思っている」との見解を述べた。
受注残に対しての生産キャパシティの確保状況については「おおむね確保できている」とした。
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