富士通の2021年度上期業績は、売上高1兆6630億円(前年同期比311億円増)、営業利益814億円(同192億円増)、当期利益529億円(同58億円増)であった。
テクノロジーソリューション部門のサービスは、製造やキャリア向けに増収だったが、事業強化に向けた投資負担増で収益は横ばいだった。同部門のシステムプラットフォームは、前年の富岳出荷の反動はあったものの5G関連で増収増益であった。同部門の海外リージョンは、為替の影響で増収増益になったが、実質的にはほぼ前年並み。ユビキタスソリューション部門は、携帯電話販売業務を連結から除外した影響で大きく減収し、その影響で減益にもなった。デバイスソリューション部門は、半導体市況が好調で大幅な増収増益を達成した。
2021年度通期の会社計画は、売上高3兆6300億円(前年度比402億円増)、営業利益2750億円(同86億円増)、当期利益2050億円(同23億円増)としており、期初予想から変更はない。NECと同様だが、各社が大きく増収増益を見込んでいる今期、富士通の上振れ方にも物足りなさを感じる。減益見込みのNECよりはポジティブだが、全体的には決してポジティブな印象ではない。NECと並んで日本のIT業界を代表すべき企業として、もっと注目を集める実績を叩き出してほしいものである。
パナソニックの2021年度上期業績は、売上高3兆5336億円(前年同期比4744億円増)、営業利益2012億円(同1046億円増)、当期利益1611億円(同1041億円増)であった。
アプライアンス部門は、中国向け冷蔵庫/洗濯機、米国向け食品流通などが堅調で増収だったが、原材料の高騰で減益になった。ライフソリューションズ部門、海外の天井扇や配線器具などが好調で増収増益を記録した。コネクティッドソリューションズ部門は、ICT端末や5G関連機器が好調で、さらに買収したBlue Yonderの再評価益なども加わって増収増益、黒字転換を果たした。オートモーティブ部門は、自動車市況の好転に加えて、車載電池の需要が大きく伸び増収増益、やはり黒字転換を果たした。インダストリアルソリューションズ部門は、コンデンサー、産業用モーター、蓄電システムなどのけん引によって増収増益、特に構造改革効果による増益が大きかった。
2021年度通期の会社計画は、売上高7兆3000億円(同6012億円増、前回計画から3000億円増額)、営業利益3700億円(同1114億円増、同400億円増額)、当期利益2400億円(同749億円増、同300億円増額)とした。アプライアンス部門以外は前期比すべて増益で、全部門で黒字化を達成している点はポジティブに評価できる。だが、買収企業の再評価益が含まれていたり、車載電池分野での今価格競争が今後ますます熾烈化しそうな見通しであったりと、手放しでは喜べない要素も含まれていることに注意したい。
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