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» 2021年11月29日 13時30分 公開

「A15 Bionic」はシリコンパズル、常に改良目指すAppleこの10年で起こったこと、次の10年で起こること(57)(2/3 ページ)

常に改良を続けるApple

 図4は、A15 BionicのCPU部の拡大写真である(鮮明な写真を提供可能)。実寸比率で掲載した。

図4:A15 Bionicと「A14 Bionic」の比較[クリックで拡大] 出所:テカナリエレポート

 2020年のA14 Bionicと同じ製造技術(プロセスノードは5nm)を用いるA15 Bionicであるが、CPU全体の面積は1.5倍ほどに増えている。L2キャッシュの容量が倍になったこと、CPU自体のブラッシュアップが図られ(一般的に回路規模を増やせば、それだけ高機能化と高速化が可能になる)、CPU個々の面積も増えている。「Pコア」と呼ばれるパフォーマンスコアはおおよそ1.2倍、「Eコア」も面積を増やしている。Appleが、前年のものを流用しているのではなく、常に改良、改善、改造を重ねていることが明確になった。Appleの全プロセッサを観察しているが、「Aシリーズ」では同じものを流用/活用することはなく、常により良くなるために新規開発が続けられている(ただし、末尾に「X」が付く、タブレット用プロセッサでは流用あり)。

 A15 Bionicは、A14 BionicのGPUコア数を4個から5個に増やしたという“ミニ改良”ではなく、CPUの内部そのものも、GPUの内部も大幅な改良を行ったことが明確になっている。

初の自前プロセッサ「A4」と「A15 Bionic」を比べてみる

 図5はApple初の独自プロセッサ「A4」と最新のA15 Bionicの比較である。A4は2010年の「iPad」で採用され、その後「iPhone 4」にも採用された。現在のAppleの礎となったプロセッサである。

図5:Appleの初代“自前”プロセッサ「A4」とA15 Bionicの比較[クリックで拡大] 出所:テカナリエレポート

 A15 Bionicが5nmで製造されるのに対して、A4は10年以上も前の製品なので45nmが用いられている。数字だけの扱いになってしまうが、1辺当たり9倍も大きいものである。面積は1辺×1辺なので、単純計算になるがA4の製造技術は、A15 Bionicの81倍(9×9)も大きいものとなってしまう。A4の時代にA15 Bionicを作ったら、100倍近い面積が必要というわけである。

 メモリも同様に高速化しながら容量を増やしている。一番の差は1つのパッケージ内に収められるシリコンの数だ。A4の時代にはプロセッサとメモリをタテ積みするSilicon in Package(SiP)技術が広がっており、2〜4個ほどのシリコンが1パッケージに収められるものが多かった。

 それに対して現在は、シリコンパズルとも呼べる実装技術が立ち上がっており、さまざまな分野でパッケージに多くのシリコンが収納され、組み合わされて使われている。A15 Bionicでは、シリコンキャパシターまで含めて実に14個ものシリコンが1パッケージに搭載されているのだ。AMDの推進するチップレットや、多くの企業のHPC(High Performance Computing)で多用される「HBM(High Bandwidth Memory)2」なども、まさにシリコンパズルとなっている。

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