図6は、2021年10月に発売されたApple製品の内部の様子である。左から「Apple Watch Series 7」「第3世代AirPods」「MacBook Pro」である。いずれも非常に手の込んだパッケージ技術を用いている。
Apple Watch Series 7では異形(凸凹あり)のSiPを用いており、SiP内(解析済)にはプロセッサ、LTEやWi-Fi用通信チップなどが埋め込まれている。AirPodsではApple独自のBluetooth Audio プロセッサ「H1」やフラッシュメモリなどが搭載されている。MacBook Proでは(背面にも大きな工夫がある)プロセッサとLPDDR5メモリが隣接に配置され、最小距離で実装されている。シリコン性能もさることながら、組み合わせ技術でも最小面積(=低消費電力)や多ビット接続*)が活用されているのだ。
*)多ビット接続:プロセッサとメモリーを隣り合わせて配置し、インターポーザーを介して直接接続することでビット数を増やし、メモリー帯域を増やす作り方(HPCで使われるHBM2などで使われる)。
最近のApple製品は、分解してもSiP、つまりパッケージが現れるだけで、何も分からない状況になっている。パッケージの内部まで見て初めて、「分解」といえるほどだ。
今回は、Apple製品以外も1つ取り上げたい。
図7は、2021年秋に話題となった「Google Pixel 6 Pro」の内部の様子である。
Google独自のプロセッサ「Google Tensor」が搭載され、ミリ波の通信機能も備わったものとなっている。これらも、“チップの中身”まで見ないと非常に分かりにくいものになっている。パッケージには記号のような数字だけが並ぶものも増えているからだ。
2021年は、半導体不足などで半導体が注目される年となっている。筆者は、ブームとは一切関係なく、今後も淡々とパッケージの中を見て分析していく。次回は、Intelの「第12世代 Coreプロセッサ」を取り上げたい。
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