富士キメラ総研は、ディスプレイデバイスと関連部材の世界市場を調査し、2026年までの予測結果を発表した。大型TFT液晶(LCD)の市場規模は、2021年に12兆円を超えるが、それ以降は価格下落の影響などもあり、2026年は8兆2329億円規模に縮小すると予測した。
富士キメラ総研は2021年11月、ディスプレイデバイスと関連部材の世界市場を調査し、2026年までの予測結果を発表した。大型TFT液晶(LCD)の市場規模は、2021年に12兆円を超えるが、それ以降は価格下落の影響などもあり、2026年は8兆2329億円規模に縮小すると予測した。
今回の調査では、「大型」と「中小型」のTFT LCD、「大型」と「中小型」のAMOLED(アクティブマトリクス式有機EL)および、マイクロディスプレイ、オン・インセルタッチパネルなどを対象とした。また、LCDやOLEDを構成する関連部材、TVやノートPC、スマートフォンといった応用機器の市場についても調べた。調査期間は2021年6〜8月。
調査結果によると、大型TFT LCDは2020年下期よりテレワークやステイホームによるノートPCやTV向け需要が大幅に増加。2021年も上期はTV向けパネルを中心に需要は高止まりしているという。2021年の市場規模は12兆2093億円を見込む。2020年に比べ80.5%の増加である。2022年以降は価格下落の影響などを受け、大型TFT LCD市場は縮小する見通しで、2026年は8兆2329億円と予測した。
中小型TFT LCD市場は、2020年に縮小した。主力用途であるスマートフォンの生産が減少したためである。2021年は5G対応のスマートフォン市場が好調であるが、AMOLEDへの移行などもあり苦戦しているという。車載ディスプレイ、産業用や汎用ディスプレイ向けの出荷は好調である。市場規模は2021年見込みの2兆4015億円に対し、2026年は2兆6704億円と予測した。
大型AMOLED市場は、OLED TVの需要拡大などにより、2021年見込みは4344億円となった。2020年比で53.9%の増加である。2021年以降もQD(量子ドット)-OLED TVなどの市場拡大が見込まれ、2026年は7072億円規模に達すると予測した。
中小型AMOLED市場は、ハイエンドのスマートフォン向けを中心に需要が拡大する。2022年以降はスマートフォンに加え、タブレット端末やノートPCへの搭載も増える見通しである。この結果、2021年見込みの2兆3460億円に対し、2026年は2兆6908億円と予測。中小型TFT LCDを上回る市場規模となる。
マイクロディスプレイは、マイクロOLEDやLCOS(Liquid crystal on silicon)、HTPS(high temperature polysilicon)が対象である。デジタルカメラの電子ビューファインダー(EVF)やHMD(Head Mounted Display)、スマートグラスなどに用いられる。ミラーレスデジタルカメラ向けなどが好調で、2021年の市場規模は160億円を見込む。2022年以降は、スマートグラスやHMDに向けた需要が期待でき、2026年は2511億円と予測した。
LCDとOLEDに関連する部品材料の市場規模も調査した。LCD関連部材は、2021年に大型TFT LCDの出荷が増えたため、液晶材料や偏光板、偏光板保護フィルム・位相差フィルム、QDシートなどが増加。2021年見込みの1兆3792億円に対し、2026年は1兆4066億円と予測した。
OLED関連部材は、TVやスマートフォン向けOLEDの伸びに支えられ、2021年は大幅増加を見込む。特に、円偏光板やOLED用封止材、OLED用バンク材・平坦化材料、蒸着型発光材料などの需要が拡大。これにより、2021年見込み2338億円に対し、2026年は3482億円と予測した。
共通関連部材市場では、大型TFT LCDの需要拡大により、ガラス基板や表面処理フィルムが大きく拡大すると見ている。
なお、富士キメラ総研が注目市場として挙げたのがTVである。2021年はOLEDが2020年比91.4%増と大きく伸長するのに対し、構成比率の高いLCDは約3%減少する。こうした傾向は今後も続く見通しだ。
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