マイクロエレクトロニクス製造サプライチェーンの国際展示会である「SEMICON JAPAN」(2021年12月15〜17日)が、2年ぶりに東京ビッグサイトで開催される。半導体業界では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックや半導体不足といった困難が続く一方で、それらが市場成長を後押しし、2021年の世界半導体市場規模は過去最高となる見通しだ。SEMIジャパンの代表取締役を務める浜島雅彦氏に、今回のSEMICON JAPANの狙いの他、昨今の半導体業界の動向や課題に対する見解を聞いた。
マイクロエレクトロニクス製造サプライチェーンの国際展示会である「SEMICON JAPAN」(2021年12月15〜17日)が、2年ぶりに東京ビッグサイトで開催される。半導体業界では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックや半導体不足といった困難が続く一方で、それらが市場成長を後押しし、2021年の世界半導体市場規模は過去最高となる見通しだ。SEMIジャパンの代表取締役を務める浜島雅彦氏に、今回のSEMICON JAPANの狙いの他、昨今の半導体業界の動向や課題に対する見解を聞いた。
――COVID-19のパンデミックが発生して2年近くになります。この間、SEMIジャパンが最も力を入れてきた活動は何でしょうか。
浜島雅彦氏 ひとことで言うなら、“情報伝達のDX(デジタルトランスフォーメーション)”だ。2020年春にはウェビナーを立ち上げ、半導体業界のトレンドに沿ったテーマで年間8〜10回開催した。技術的なテーマだけでなく、コンサルタントの方々を講師に招き、地政学的な問題も含めた業界の現状を語っていただいたことは、SEMIジャパンとしては目新しかったのではないか。ウェビナーには毎回数百人、多い時には800人ほどの登録があった。
もう一つ、SEMI会員のデータベースを活用する、オンラインのビジネスマッチングイベント「SEMI パートナーサーチ」も立ち上げ、これまでに数回開催した。SEMI会員企業が出展社となり、自社の技術や製品/サービスを、SEMIの会員向けに紹介できるというものだ。ニッチな技術や製品でも、SEMIの会員にピンポイントで情報を発信できるので、非常に評判がよかった。
――COVID-19によって、半導体業界も大きく変わっていると感じます。
浜島氏 さまざまな分野でDXが後押しされたというのが、最も大きな影響の一つではないか。DXをサポートするのは、ほぼ全て半導体と言っても過言ではない。そのため半導体への需要が非常に高く、製造装置メーカー、材料メーカーともに活況だ。ただ皮肉なことに、製造装置メーカーも、装置に搭載する半導体が足りない状況になっている。近々、SEMIでも、装置メーカーや材料メーカーを中心に現状をヒアリングする予定だ。
――TSMCによる日本工場の建設や、経済産業省による半導体政策の見直しなど、半導体をめぐる国内の動きが活発になっています。SEMIジャパンとしては、こうした動きをどう見ていますか。
浜島氏 半導体産業が注目され、期待されること自体は歓迎すべきことだ。これまでの日本では、半導体デバイスの競争力が低下していく中で、政府や民間企業の間でも半導体に対する認識は決してポジティブなものではなかった。それが現在は、半導体不足という背景もあり確実に変わってきている。TSMCの工場建設も、1つのニュースとして捉える分には、良いことなのではないか。
――TSMCの日本工場建設は、経済安全保障上の意義があるという主張もあります。
浜島氏 半導体やエレクトロニクスのサプライチェーンは、国で分けられるようなものではなく、本質的にグローバルなものだ。それを全て自国で完結しようと考えた瞬間に、破綻してしまうのではないか。
材料一つとっても、例えばレアアースは世界中で採掘できる物質ではない。材料の他にも、電気や水などのインフラ、労働力、設計開発力、そうした全ての要素を考慮すれば、サプライチェーンはグローバルであることが健全だ。現在は、どうしても半導体産業が地政学的な切り札として使われてしまう傾向が強いが、本来はそうあるべきではないと考えている。
この50年間で半導体技術がすさまじい発展を遂げてきたのは、フェアな開発競争があったからだ。「懸命に開発して良いものを作れば、しっかりと成果を得られる」、そうしたシンプルで公平な競争が世界レベルで起きていたことが、半導体産業発展の源泉になっている。
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