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偽造半導体とは ―― 偽物を購入しないために知っておきたいこと半導体製品のライフサイクルに関する考察(5)(2/3 ページ)

» 2022年01月31日 09時30分 公開
[Rochester ElectronicsEE Times Japan]

偽造されやすい半導体とは

 では、どういった半導体が偽造されやすいのだろうか。前述したように、需要が供給を上回ったときに、偽造半導体が出回りやすいといえる。ここでまず、製品ライフサイクルをベースにし、偽造される可能性が高い半導体について考えることにする。一般的な半導体のライフサイクルと偽造の可能性について図3に示す。

図3:偽造される可能性の高い半導体とは

 まず現行品で量産期に入った半導体について考えたい。半導体は、企画段階から、あらかじめ、需要予測などに基づいた生産計画を立て、その計画に従って製造されている。しかしながら半導体によっては、当初の需要予測よりも市場での反応が良く、予想以上の需要量になる場合がある。その場合、需要に見合うだけの生産体制になっておらず、供給が追いつかなくなることがある。しかしながらこの場合、半導体メーカーでは継続的に製造しているため、一時的に不足に陥っても、時間の経過とともに不足は解消される。

 次に考えるべき半導体は、製造中止になり、MRO(Maintenance, Repair and Operations/保守、修理、運用)になった半導体だ。一般的に、最終製品を企画し販売する際に、その製品の販売期間をあらかじめ想定し、ライフサイクルを定める。そしてその最終製品のライフサイクルに合わせて、製品に使用している半導体の調達計画も決めている。つまり、その最終製品に使用する半導体をどの期間、どの程度の数量を購入するかといったものだ。これに加え、最終製品ライフサイクル終了時に、ユーザーサポートの観点から、メンテナンスなどのために必要な半導体を一定量確保することも必要になる。

 市場の需要変化により、これらの調達計画の適宜修正、管理をしていくことは難しく、最終製品ライフサイクル終了後に、どの程度の半導体が必要になるのかを予測することは非常に困難である。これは単に、最終製品に使用している半導体自体の寿命やあらかじめ設定したメンテナンス期間に使用すると予測される半導体数量だけではなく、ユーザー側の事情も重要な要素になるためだ。ユーザー側でどのような使い方をするのかは、想定しにくい。場合によっては、予想以上の交換用半導体が必要になる可能性がある。また、最終製品を販売側としては、少しでも早く、後継機種に置き換えてほしいが、ユーザー側は使えるなら少しでも長く使い続けたいと思っている。そして、使用している間は継続してメンテナンスなどの対応をお願いしたいと考えている。そのため、予測した以上の数量の半導体が必要になる可能性がある。

 前回、半導体のライフサイクルは短いと説明した。したがって、最終製品のライフサイクルを終えた場合には、半導体は既に製造中止になっていて、供給元に追加製造を依頼することはできない状態になっている。また、契約している販売代理店についても、長期にわたって必要以上の在庫を持つことが難しく、場合によっては在庫が全くない状況が起こる。つまり、半導体不足の状態になってしまう。

 この時、まさに需要と供給のバランスが崩れ、半導体を使用した最終製品を製造するメーカーは、あらゆる手段を使って半導体を探すことになる。

 これが、偽造半導体を生み出す原因になっている。

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