それでは、そもそも、偽造半導体とはどういったものだと認識されているだろうか。WSC(世界半導体会議)では、不正に製造、変更、配布または提供する際に、本物であると偽った製品であると定義している。偽造半導体を具体的に考えてみると、以下のように示すことができる。
などになる。
偽造半導体のタイプについてより詳しく整理しておく。偽造半導体は図5のように6つのカテゴリーに分類できる。
図5に示した各カテゴリーについて説明していく。
【リサイクル】
リサイクルされた偽造半導体。リサイクル品とは、廃棄された使用済みのプリント回路配線板(PCB)から取り出し、再梱包されて新品として市場に販売されている半導体のこと。一切動作しない半導体や時間経過とともに動作しなくなる半導体が含まれている。
【再マーキング】
再マーキング品。元々のパッケージ(またはダイ)のマーキングを除去し、新たなマーキングが施された偽造半導体。一例として、商用グレードの半導体から、工業用または防衛用グレードへより高い仕様の半導体であると偽って販売される。
上記2つのタイプを合わせると、およそ偽造半導体の80%以上を占めているともいわれている。
【仕様外/欠陥品】
仕様外や欠陥のある半導体。その名の通り、本来であれば、仕様を満たしていない、使用条件を満たさないため廃棄されている半導体。それらが悪意を持って回収され販売される。
【クローン】
クローン品。正規の情報を受け継いで開発された製品ではなく、主に開発コストを削減するために、表面上の仕様のみをコピーし、いかにも正規品であるかのように偽装された半導体のこと。このクローンを偽造する場合、リバースエンジニアリングとIP(知的財産)の不正取得の2つの手法がある。
【偽造書類】
製品カテゴリーによっては、半導体とともに書類を添付する必要がある。この書類には、本来であれば業界標準または規格に対する認証が記載されている。だが、この書類を偽造して、あたかも正規品であるかのように偽っている。最新バージョンの半導体であると偽るために、製品の改訂履歴や変更ログを改ざんして販売している場合などがある。
【改ざん】
ダイレベルまたはパッケージレベルで、半導体のソフトウェア/ファームウェアを改ざんして、あたかもその製品であるかのように偽ること。このような改ざん品の中には、特定の条件下でデバイスの動作が異なるシリコン時限爆弾として機能するものや、チップからの秘密情報を敵に送信できるバックドアとして機能するものがあったことが報告されている。
では、こういった偽造半導体を購入しないためにはどうしたらよいのだろうか。
やはり、オリジナル半導体の供給元の製品であることが保証されているものを供給元認定の販売代理店から購入することだ。なぜなら、このルートで購入できる製品は、供給元からお客様にお届けするまでの間の製品の流れが追うことができるからだ。つまり、その製品が本当にオリジナル半導体の供給元で製造されていて、市場に投入されることもなく未使用の状態でお客様に届いているという記録になる。この記録が提出できるのはやはり、オリジナル半導体の供給元に認定された販売代理店になる。さらに、供給元から製造を引き継いだ製品を販売しているケースもある。この場合に確認する必要があるのは、
などになる。
こういった情報を確認し、偽造半導体を購入しないようにしていただけたらと思う。
半導体を応用する機器メーカーは、半導体の製造中止や廃品種に対して積極的にアプローチすることにより、生産中断のリスクを軽減し、偽造半導体に対しても強い立場を取ることができる。製造中止半導体の代替ソリューションは、さまざまな障害を引き起こす可能性があり、ときには隠れた不整合をもたらす。その中には明らかに認識できるものもあれば、診断が難しいものもある。これらの障害を排除するためには、高い信頼性と費用対効果の大きい選択が必要である。
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