図3はカメラ部の詳細である。カメラはユニットになっており、3基のカメラが縦方向に並ぶ構成になっている。図3の右上から16mm 12Mピクセルのウルトラワイドカメラ、中央が24mm 12Mピクセルのワイドカメラ、右下が50mm 12Mピクセルのテレフォトカメラである。
カメラユニットが本体に組み合わされる際に、ワイドカメラとテレフォトカメラの間にToFセンサーのユニットが設置されている。像面位相差AF(オートフォーカス)の機能を持つ1インチカメラの詳細については省略するが、興味ある方はぜひテカナリエレポート(有償)で確認いただきたい。
カメラユニットの真横には、POP(Package On Package)のチップが存在する。上部はメモリ、下部はプロセッサで構成されている。POPの上チップを取り外すと、下部にプロセッサが現れる。プロセッサにはソニーのネームとチップの型名が読み取れる。型名は「CXD」で始まる。フルの型名は伏せさせていただくが(有償データでは型名から開封チップ、機能分析結果も掲載)、1眼レフからコンデジまでソニーの多くのデジカメで採用されている、“カメラ用の心臓部”ともいえるプロセッサである。
活用方法(POPの組み合わせ方)から周囲のチップまで、デジカメの一部がそのままスマートフォンに入ってきたような構成になっている。スマートフォンとデジカメ両方を手掛けてきたソニーだからこそ可能な技術であり、「真の融合」がXperia PRO-Iの内部で実現できたわけだ。
図4は、1インチカメラ部の詳細である。カメラ部は一部省略したが、多くの部品で構成されている。シャッター、AFのコイル、マグネット(4方向)、CMOSイメージセンサー、2個のDRAM、レンズである。
従来のカメラでは3方向であったコイル、マグネットは4方向でカメラ全体を囲むようになってより精度の高いAFを実現できるようになっている。1インチセンサーだけでなくウルトラワイドやテレフォトカメラにもそれぞれコイルやマグネットが埋め込まれており、カメラユニット部トータルで8個ものコイル、マグネットが使われている
AppleやSamsungのスマートフォンもほぼ同様だが、カメラ部は、センサーやメモリ、ドライバーなどのエレクトロニクスと、コイルやマグネットなどで構成されるメカトロニクスの融合となっており、機械と電気の一体化、いわゆる機電一体になっている。スマートフォンは現在、バイブレーションのモーターだけでなくカメラ部もAF用のモーター構造を内部に持っており、広義にはエレクトロニクスとメカトロニクスの融合で高度化を進めているわけだ。
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