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» 2022年03月30日 14時30分 公開

ASML、「半導体不足は今後2年間続く」と警鐘鳴らすレンズの供給難が原因か(1/2 ページ)

半導体製造に非常に重要となるEUV(極端紫外線)リソグラフィ装置の唯一のメーカーであるオランダのASMLは、半導体不足は少なくとも今後2年間続くと予想している。この警鐘は、ASMLが同社にとって不可欠なレンズの供給を、ドイツの光学機器メーカーCarl Zeiss(以下、Zeiss)などのサプライヤーに依存していることに起因するといわれている。Zeissもまた、サプライチェーンの問題による影響を受けている。

[Stefani Munoz,EE Times]

 半導体製造に非常に重要となるEUV(極端紫外線)リソグラフィ装置の唯一のメーカーであるオランダASMLは、半導体不足は少なくとも今後2年間続くと予想している。この警鐘は、ASMLが同社にとって不可欠なレンズの供給を、ドイツの光学機器メーカーCarl Zeiss(以下、Zeiss)などのサプライヤーに依存していることに起因するといわれている。Zeissもまた、サプライチェーンの問題による影響を受けている。

 Zeissの担当者は英国の写真雑誌Amateur Photographerに、「もちろん、われわれZeissも、半導体不足と写真分野の部品価格の上昇の影響を受けている」と述べている。

 ASMLのCEO(最高経営責任者)を務めるPeter Wennink氏はFinancial Timesに、「光学機器メーカーは、非常に多くのレンズを作る必要がある」と述べている。しかし、Wennink氏が説明するように、「そのためには、クリーンルームの建設の他、許可の申請や新しい工場の建設に向けた準備を進める必要がある。そして工場の準備が整ったら、製造装置を発注し、従業員を雇う必要がある。その後、レンズを製造することになるが、それには12カ月以上かかる」

 ASMLの広報担当者は、これ以上のコメントの要請には応じなかった。

 Wennink氏は、大手半導体メーカー各社が米国およびEUの半導体生産能力への投資を増やすと発表したことに続く形で、供給不足についてコメントした。例えばIntelは、サプライチェーンを強化し、半導体製造におけるアジアへの依存を減らすために、EUの半導体生産能力に800億ユーロ(約880億米ドル)を投資する計画を発表している。

半導体製造投資は加速するが、効果発揮はまだ先

 本誌の姉妹誌であるEE Times Europeが報じているように、IntelのCEOを務めるPat Gelsinger氏は2022年3月15日のライブWebキャストで、「最近の半導体不足によって、短期的には、ある特定の地域に依存しすぎるリスクが再認識された。現在、半導体の80%以上がアジアで生産されている。当社の画期的な欧州投資は、よりバランスの取れた回復力のあるサプライチェーンに対する世界的なニーズに応えるものだ」と述べている。

Tirias Researchの創設者で主席アナリストのJim McGregor氏

 ただし、グローバルサプライチェーンがこうした投資の効果を得られるようになるには、長い時間がかかる。需給バランスの回復の問題も、依然として懸念されている。米国の市場調査会社Tirias Researchの創設者で主席アナリストを務めるJim McGregor氏は、その理由について、「新しい工場が稼働するには何年もかかる可能性があり、新世代のチップの生産に関しては時間とコストの制約が課題として残っているからだ」と説明する。

 「われわれは古いプロセスではなく、先端プロセスの工場を建設するのだということを理解しなければならない。GlobalFoundriesやTSMC、Samsung Electronics、Intelが進行中または計画しているのは、全て先端半導体工場の建設であり、新しい装置が必要だ。特に、ASMLはEUV装置を製造する唯一のメーカーで、装置は大規模で高額であるため、EUVがネックになっていることは間違いない」(McGregor氏)

 McGregor氏は、供給危機は少なくとも今後2年間続くとみている。それも需給バランスを取り戻すために工場がいかに迅速に新しいチップを製造できるかにかかっており、場合によってはさらに長く続く可能性もあるとしている。

 同氏は、「広い意味で見れば、少なくとも今後2年間は半導体が不足する。新しい生産能力の稼働に長い時間がかかるだけでなく、需要を平準化するのにも、かなりの時間がかかる。現時点で生産能力が不足しているのは主に、45nmや65nm、さらには28nmなど旧世代の2D(2次元)半導体製品だ」と述べている。

 「これらの製品は新しい世代や新しい技術に移行する必要があるが、多くの場合、企業は進んで移行しようとはしない。その理由は、先端プロセスを適用した製品が高額である他、マスクセットの更新や認証の再取得を行いたくないことにある。しかし、ライフサイクルを通じて、そのうちのいくつかは最終的に新世代に移行するだろう。需要が高い状況が続く限り、需給バランスを取り戻すには2年はかかると予想される」(McGregor氏)

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