同社は2022年度の通期業績予想も明らかにした。2022年度の売上高は前年度比1%減の3兆3000億円、営業利益は同111億円増の1700億円、純利益は同197億円減の1750億円と予想している。
平田氏は、「半導体をはじめとした部品不足や素材/輸送費高騰については、2022年度も一定程度継続すると想定しており、原価低減、効率化の他、売価の反映などさまざまな対策/対応を取っていく」と説明。半導体不足の影響で60億円の減収、素材/輸送費高騰で270億円のコスト増を見込むものの、売価アップや構成差などによって前年度を上回る営業利益1700億円の達成を目指していく方針だ。
純利益予想を197億円の減益としている理由については、「主に税金費用の増加によるものだ。2021年度の税引前損益には、現状、税効果を計上しないキオクシアの持分法損益が約400億円含まれていることや、2021年度の税金費用に一過性の改善があったためで、2022年度の税金費用が重くなっているというものではない」と説明した。
また、長引くウクライナ紛争に関しては、平田氏は、「われわれは直接その市場で売上高を大きく立てているということはない」としつつ、「この波及で素材価格が高止まり、あるいはさらに上がる恐れもあると認識している。それに備えるべく改善項目をどう行っていくのか、常にウォッチしている」と触れた。
セグメント別にみた業績予想は下図の通りだ。デバイス&ストレージソリューションセグメントは売上高が前年度比7%増の9200億円、営業利益は同143億円増の800億円を見込む。
なお、同社は2021年11月にグループを3分割する案を、その後2022年2月には2分割にする修正案を発表したが、同3月の臨時株主総会において否決されている。
2022年5月13日には、買収による株式の非公開化を含めた「企業価値向上に向けた戦略的選択肢」の検討に向け、投資家やスポンサー候補となる計10社と秘密保持契約を結んだと発表しており、平田氏は、「企業価値最大化を目指し、先般はスピンオフを提案したが、それが臨時総会で差し戻された。われわれはいま、あらゆる選択肢を模索し、あらゆるステークホルダーの利益になる運営の仕方は何なのかを鋭意検討しているところだ」と語った。
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