OpenLightが2022年6月6日(米国時間)、レーザーを統合した「世界初」(同社)のオープンなシリコンフォトニクスプラットフォームを発表した。
OpenLightは2022年6月6日(米国時間)、レーザーを統合した「世界初」(同社)のオープンなシリコンフォトニクスプラットフォームを発表した。同社は、SynopsysとJuniperが共同投資によって新たに設立した独立企業で、米国カリフォルニア州に拠点を置く。半導体メーカー向けに、最高クラスの性能を実現可能なPIC(フォトニック集積回路)を製造するための手法を提供していくという。ターゲットとするアプリケーション例としては、低消費電力で動作可能な、データコムやテレコム、LiDARなどのさまざまな分野が挙げられる。
現在、AI(人工知能)/機械学習技術の活用が急激に進むに伴い、シリコンフォトニクスの需要も急増している。PICはもともと、高レベルアプリケーションの増大する帯域幅需要に対応可能な性能を備えていることから、今やさまざまな半導体メーカーがPICに狙いを定めるようになってきた。
しかし、このように帯域幅需要の規模が拡大して複雑性が高まり、レーザー集積のコストも増加の一途にあることから、半導体メーカーは現在、やや行き詰った状況に置かれている。
OpenLightのCOO(最高執行責任者)であるThomas Mader氏は、「全てはスケールの問題だ。超大型の複雑な半導体チップを製造する場合、レーザーが集積されていなければ、外部から取り付ける必要がある。それが別パッケージの場合や、取り付けや調節を行うとなると、光学的に調整することは非常に難しい。それを1回行うだけでも困難なのに、1つの製品で4回または8回も行うとなれば、難易度はさらに上がるため、歩留まりの低下やコスト上昇、電力損失などにつながっていく」と述べる。
OpenLightとしては、このような点においてこそ、同社の統合型レーザーが、現在市場に出回っているオープンシリコンフォトニクスソリューションとの差別化を実現することができると確信しているようだ。
同社のビジネス開発/戦略部門担当バイスプレジデントを務めるDaniel Sparacin氏は、「他にも、プロセス設計キットを提供可能なオープンシリコンフォトニクスプラットフォームは存在するが、レーザーを追加するとなれば複雑性がかなり高くなる。なぜなら、内部反射やノイズなど、他のプロセス設計キット(PDK)では扱う必要のないものを扱わなければならないからだ。そのため、EDAと連携し、これを実現するためのエコシステム全体を構築している」と語っている。
同社のPDKは、イスラエルのファウンドリーであるTower Semiconductorの「PH18DA」プロセスの品質および信頼性テストに合格している。統合型レーザーと光増幅器、変調器、光検出器で構成されており、半導体メーカーが独自のPICを設計する際に利用できる。
Mader氏は、「シリコンフォトニクスに決定的に欠けているものの1つは、レーザーだ。当社のPDKは、半導体設計時にレーザーを集積できる他、光増幅器やリン化インジウム(InP)ベースの変調器、光検出器を集積できる。つまり、レーザーやアンプなど、完全に独自設計の能動素子が全てそろっている」と述べている。
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