――ロジックの調達の現況をお聞かせください。
清水氏 大変な苦労をしている。現在、センサーへの需要は高まっていて、われわれとしても販売数を増加したいが、ロジックの調達が課題となりなかなか難しい状況だ。ファウンドリー各社は半導体製造プロセスの微細化を進めていて、生産能力も増強しているので、昨今の半導体不足はどこかのタイミングで落ち着くとみているが、われわれが必要とするロジックを調達できるかが課題だ。これについては、さまざまな角度から取り組みを進めていく。
――半導体不足や世界情勢によって、部材のコストが上昇していますが、業績への影響についてはいかがでしょうか。
清水氏 特にロジック半導体のコストが高騰した。ただし、これは世界的な動向であり、顧客も含め、業界関連各社が同様の状況にある。そのため顧客が理解を示し、コスト高による価格上昇をきちんと吸収してくれている。
われわれとしては、ロジック以外のセンサーの部分で高付加価値を追求し、収益を上げていく。それが、2020〜2021年の落ち込みから回復するためのシナリオになっている。
――2025年度にイメージセンサーの金額シェア60%を目指す上で、鍵となる領域は何でしょうか。
清水氏 車載向けの売上高は2021年の倍ほどになっており、世界の大手自動車メーカーとの取引が順調に拡大している。ただし、車載用センサーとモバイル用センサーの売上高の規模は全く異なり、モバイル用が圧倒的に高い。CMOSイメージセンサーの大判化が進んでいることもあり、モバイル向けが当面の間は売上高増加のけん引力となるだろう。
――シェア60%という目標に言及したのは2019年のことでしたが、特にHuawei向けへのCMOSイメージセンサービジネスが縮小する中、60%という数字は現実的なのでしょうか。
清水氏 確かに、シェア60%という目標は、極めて好調な業績だった2019年のことだ。その後、米中貿易摩擦などで事業環境が厳しくなり、Huaweiとの取引停止による損失が拡大する“Huaweiショック”のような状況に陥ったこともあった。そのため、ここ2年間は、中国メーカー以外の顧客の開拓に注力してきた。
加えて、先ほども述べたように、スマートフォン市場ではローエンドやミッドレンジの機種の売れ行きが鈍化し、われわれがもともとターゲットとしてきたハイエンドスマートフォンの比重がより高まっている。こうした背景から、60%という目標値を下方修正する必要性はないと判断した。
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