LiDARの新興企業である米AEye(エーアイ)が、日本市場に本腰を入れようとしている。同社は、CTO(最高技術責任者)であるLuis Dussan氏により2013年に設立された企業で、カリフォルニア州に本拠地を置き、日本、ドイツ、韓国に営業拠点を持つ。日本支社はちょうど1年前となる2021年7月に設立された。【訂正あり】
LiDARの新興企業である米AEye(エーアイ)が、日本市場に本腰を入れようとしている。同社は、CTO(最高技術責任者)であるLuis Dussan氏により2013年に設立された企業で、カリフォルニア州に本拠地を置き、日本、ドイツ、韓国に営業拠点を持つ。日本支社はちょうど1年前となる2021年7月に設立された。
AEyeは、同社が「アダプティブ(適応型)LiDAR」と呼ぶ技術を中核とし、同LiDARをプラットフォーム「4Sight(フォーサイト)」として提供する。ターゲット市場は自動車と産業機器だ。産業機器には、トラックや重機/建機、ITS(高度道路交通システム)、鉄道、ドローン、モビリティなどが含まれる。
アダプティブLiDARは、レーザーの出力をショットごとにソフトウェアでコントロールし、状況に応じてレーザー出力と解像度を変える技術だ。
例えば、高速道路では、遠方の領域に対してレーザーの出力を最大にし、解像度も高くする一方で、手前の部分はレーザー出力や解像度を抑える。反対に、渋滞している時には、前のクルマとの衝突などを避けるため、手前の領域についてレーザー出力と解像度を高めるといった具合だ。このように、複数のスキャンパターンを用意して、ソフトウェアで動的にかつ瞬時に切り替えることができる。AEyeの日本法人、AEye Japanのカントリーマネジャーを務める三浦栄介氏は、「このような技術は他にないのではないか」と主張する。
AEye Japanで技術営業ダイレクターを務める岡田健成氏は、スキャンパターンを変えることで、限りある光を最適に配分し、異なる用途やユースケースにおいて性能を最適化できると説明する。「解像度を上げるとデータ量が増え、CPUのリソースが取られてしまう。当社のアダプティブLiDARではスキャンパターンを変えることで、データの処理量を抑えることができる」(同氏)
AEyeのLiDARでは、1550nmの光源を利用する。一般的には905nmが使われるが、「1550nmでは、太陽光の影響(ノイズ)を受けにくく、905nmよりも高い出力が出せるので長距離に対して有利になる」(岡田氏)という。レーザー素子単体のコストは高くなるが、システム全体のコストと性能を考慮すれば、コスト面がデメリットになるとは考えていない、と岡田氏は述べた。
LiDARの構造にも独自の技術を持つ。レーザーの送信/受信ビーム、ミラーが同一直線上に重なる一般的なモノスタティックに対し、AEyeのLiDARではレーザーの送信部と受信部(受光素子)を分け、間にミラーを配置するバイスタティックの構造を採用している。これにより、ミラーを小型化して耐衝撃性を上げる、受光部を大きくできる、ガラス越しでも劣化が少ないといった利点を得られるという。AEyeは、独自のバイスタティック構造において、100件以上の特許を取得している。
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