プラットフォームである4Sightは、レーザー素子やレシーバー、SoC(System on Chip)、ソフトウェアなどで構成される。ビジネスモデルも独特で、自動車向けには4Sightを技術ライセンスとして提供し、最終製品としてのLiDARはティア1サプライヤーが製造する。一方で産業機器向けには、外部委託で製造したLiDARを最終製品として提供する。「プラットフォームのキーとなる基本設計や、光学系、アナログ系の部品は共通化する。LiDARのコンセプトは同じで、自動車向け、産業機器向けでそれぞれサプライチェーンを変えるというイメージだ」(三浦氏)
三浦氏は「自動車向けでは非常に高い品質を求められることに加え、(製造の)経験や実績も重視される。こうした中で、自社で最終製品となるLiDARを製造するのは難しく、製造設備を自社で所有するのは投資の面でも効率が悪いと判断した」と説明する。一例として、現在Continentalとパートナーシップを締結し、Continentalの次世代LiDARの共同開発を進めている。このLiDARは2024年に量産を開始する見込みだという。
産業機器向けでは、EMS(電子機器製造受託サービス)メーカーのサンミナがLiDARを製造し、AEyeが販売するという形式をとる。なお、産業機器向けでは、「4Sight M」という製品をサンプル出荷している。筐体のサイズは22×34.5×7.5cm。最大距離は1000mで、角度分解能は0.05度、最大フレームレートは100Hzだ。4Sight Mの製品化は2022年末を予定している。
日本市場については、「世界第3位の自動車大国であり、自動車メーカーだけでなく、デバイスやサプライヤーも含めた国内エコシステムのそれぞれのレイヤーでパートナーシップを推進するなど、さまざまな取り組みを進めていく」(三浦氏)と意気込む。自動車以外の分野では、スマートシティーやITS、鉄道、重機や建設機械、河川などでの測量といった分野を狙う。
三浦氏は、日本の顧客について「自動車もそれ以外の分野でも、LiDARの採用を前向きに捉えている」と手応えを語る。日本での売上高について具体的な目標値は明らかにしなかったものの、LiDARの世界市場規模については約4兆円を見込む。
【訂正 2022年7月26日12時45分 当初、LiDARの市場規模約4兆円について「日本市場」としていましたが、「世界市場」の誤りです。お詫びして訂正致します。】
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