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再生可能エネルギー貯蔵の道筋を示す「CO2バッテリー」リチウムイオン電池の置き換えに(1/2 ページ)

再生可能資源から生成したエネルギーの貯蔵には従来は電池、特にリチウムイオン(Li-ion)電池が使用されてきた。この記事では、リチウムイオン電池の限界を克服して、電池寿命を延ばし、コストを削減すると期待される、エネルギーの一時貯蔵のための革新的な技術「CO2バッテリー」を紹介する。

» 2022年07月26日 11時30分 公開

 再生可能資源から生成したエネルギーの貯蔵には従来は電池、特にリチウムイオン電池が使用されてきた。この記事では、リチウムイオン電池の限界を克服して、電池寿命を延ばし、コストを削減すると期待される、エネルギーの一時貯蔵のための革新的な技術を紹介する。

 再生可能エネルギーの生成に使用される技術は、コスト競争力や環境負荷の低さ、気候問題解決への貢献という観点からますます重要になっている。しかし、再生可能エネルギーはその性質上、断続的なエネルギー源であることなど、いくつかの制限がある。

 そのため、生成したエネルギー(例えば、日中に取得した太陽エネルギー)を貯蔵し、夜間やエネルギー需要のピークを補う必要がある時はいつでも送電網に放出できる、適切なシステムの導入が必要となる。

Energy DomeのCO2バッテリー

 2019年に設立され、イタリアのミラノに本社を置くスタートアップであるEnergy Domeは、大気中への温室効果ガスの排出を大幅に削減し、環境問題解決の一助となる新技術を開発した。「CO2バッテリー」と名付けられたこの新しい技術は、実際には長期間のエネルギー貯蔵技術で、再生可能エネルギーをより手頃な価格で貯蔵および放出することが可能になるという。

 Energy Domeが開発した新技術は、基本的に4〜24時間持続する電気エネルギー貯蔵の一形態である。原則として、再生可能エネルギー(太陽光や風力エネルギーなど)が大量に生成可能な時は貯蔵し、需要が多く生成可能なエネルギーが少ない時は送電網に再投入する。

 Energy DomeのCEO(最高経営責任者)を務めるClaudio Spadacini氏は、「現在、エネルギー貯蔵の主要技術はリチウムイオン電池だが、リチウムイオン電池は持続時間が2〜4時間のアプリケーションに適しており、充電/放電の回数が多いことが特長だ。ストレージをより長時間管理する必要がある場合、リチウムイオン電池の価格では競争力がなくなってしまう」と述べている。

 Energy Domeが特許を取得した技術は、熱力学原理に基づいている。具体的には、大気圧と温度の初期値から高圧での二酸化炭素の液化まで、ガス(CO2)の圧縮をベースとしている。

 そのため、この新技術は、化学プロセスである、リチウムイオン電池で使用される蓄電システムとは大きく異なる。また同社のシステムは、高い圧力をかけずとも高いエネルギー密度を実現することができる。

 「鉄と水とCO2というどこにでもあるものだけで構成されていることも大きな特長だ。工業的に、あるいは他の工程の結果として得られる作動流体としてのCO2は、システムが閉じているため消費されることはない」(Spadacini氏)

動作原理

 どのような蓄電システムも、生産された電気エネルギーを別のエネルギー(化学、電熱、機械など)として蓄える充電段階と、先に蓄えたエネルギーを送電網に供給して電気を生産する放電段階の2段階から構成されている。Energy Domeのシステムは、図1に示すように、充電と放電の2つのフェーズで、電気を使ってCO2を圧縮し、その膨張を利用して発電を行うものだ。

図1:CO2バッテリーの動作原理[クリックで拡大] 出所:Energy Dome

 CO2は大気圧/大気温度でタンク(『ドーム』と呼ぶ)に貯蔵され、充電時に「COMP(圧縮)」ステージで圧縮される。高圧で高温の液体は冷却(放熱)され、凝縮される。液体CO2は、一連の圧力容器に貯蔵される。

 排出段階では、まず高圧の液体を蒸発させ、その後、充電段階で発生した熱を利用して加熱する。高温高圧の流体は、タービンで膨張して電気を作り、大気圧と同程度の圧力で再びドーム内に到達する。

 充電段階でシステムに導入されるエネルギーは放電段階で生成されるエネルギーよりも大きいため、エネルギーバランスを保つためには、空冷式熱交換器を通して熱エネルギーを外部に放出する必要がある。

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