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カーボンニュートラルへの挑戦

再生可能エネルギー貯蔵の道筋を示す「CO2バッテリー」リチウムイオン電池の置き換えに(2/2 ページ)

» 2022年07月26日 11時30分 公開
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リチウムイオン電池の半分のコストで、3倍の持続時間を実現する

 同社のシステムは、圧縮と膨張という2つの熱力学的変換を伴うだけなので、損失が少なく、圧縮空気や液体空気を作動流体とする同様のシステムよりも高い75%(77%±2%)の往復効率(RTE)を得ることができる。

 リチウムイオン電池は公称で約95%のRTEを実現できるが、摩耗や経年劣化による性能低下の影響から実際のRTEは70〜80%程度となる。また、放電深度を下げて使用した場合、リチウムイオン電池の寿命は7〜10年ほどに短縮される。

 Spadacini氏は、「CO2電池の効率はリチウムイオン電池に匹敵する一方で、CAPEX(資本的支出)は最初から40%低く、その後スケールメリットで大きく低下する。さらに、持続時間は3倍で、経年劣化もない」と述べる。

図2:サルデーニャ島にあるCO2バッテリー実証プラント[クリックで拡大] 出所:Energy Dome

 EnergyDomeは創業間もない会社ながら、既にイタリアのサルデーニャ島で商業用の実証プラントを稼働している(図2)。このプラントに加え、今後、発電容量20MW、エネルギー容量200MWhの拡張可能なフルスケールプラントが2〜3基稼働し、商業化の段階に入る予定だという。

 Spadacini氏は、「われわれの目標は、リチウムイオン電池に代わる、コストが半分で、持続時間が3倍長く、同じ性能を持つ蓄電システムを作ることだ」と語った。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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