クルマの自動化/電動化が加速する中、既存技術に比べて高速大容量な通信が可能となる車載イーサネットの採用が進んでいる。この技術の黎明期からテスト/検証製品の開発やコンサルティングサービスなどを手掛けてきたのが、ドイツのTechnica Engineeringだ。今回、同社の事業開発部長、Erick Parra氏に事業内容や強み、新製品の概要などを聞いた。
クルマの自動化/電動化が加速する中、既存技術に比べて高速大容量な通信が可能となる車載イーサネットの採用が進んでいる。この技術の黎明期からテスト/検証製品の開発やコンサルティングサービスなどを手掛けてきたのが、ドイツのTechnica Engineering(以下、Technica)だ。同社は2022年、独自機能を複数搭載した新製品である100/1000BASE-T1対応イーサネットスイッチ「EES(Enhanced Ethernet Switch)」の日本国内販売を開始するなど、日本での展開を強化している。今回、同社の事業開発部長、Erick Parra氏に同社の事業内容や強み、新製品の概要を聞いた。
Technicaは2008年に創業した車載ネットワーク関連のテスト機器/サービス専業企業だ。本社はドイツ・ミュンヘンで、ドイツ国内に他2つの拠点を置くほか、スペイン、米国(ミシガン州とカリフォルニア州)、チュニジアにもオフィスや開発拠点などを有しており、従業員数は600人以上、売上高は年間約4000万ユーロに達している。
車載イーサネットの歴史をさかのぼると、2008年、BMWの7シリーズがOBD(故障診断システム)においてイーサネットを用いた最初の自動車として登場した。その後、2013年にBMWがサラウンドビュー駐車支援システム向けで本格的に車載イーサネットを採用したのを皮切りに、欧州を中心に各自動車メーカーが相次いで採用。以来、ADAS(先進運転支援システム)やインフォテインメント、テレマティクス、車体など複数の領域において、さまざまなアーキテクチャタイプのバックボーンとして使用されるようになってきた。
Technicaはその発祥の地といえるドイツにおいて、2008年の設立当初からBMWやBroadcomと共同でBroadR-Reach/100BASE-T1の評価、検証を実施してきた業界の先駆者といえる存在で、2010年には100BASE-T1を搭載した「世界初」(同社)のメディアコンバーターを製品化。その後も2011年には100BASE-T1対応のテスト/開発用ネットワークスイッチ、2016年には「世界初」(同社)の1000BASE-T1搭載メディアコンバーターの提供を開始するなど、他社に先駆けた開発を進め市場と共に成長を続けてきた。なお、前述のBMWにおけるイーサネット採用をリードしたThomas Konigseder氏は、現在TechnicaのCTO(最高技術責任者)を務めているという。
Parra氏は、「当社はスイッチ、ゲートウェイ、概念実証用ECUなどの分野で非常に深い専門知識を持っている。この分野のエキスパートとして、E/Eアーキテクチャの定義/検証などに関して最大手の自動車メーカーにアドバイスしている」と述べていた。
同社は「システムエンジニアリング」「テストサービス」「製品/テストソリューション」「研究/開発」の4つの柱を軸に事業を展開。車載イーサネットの開発プロセスの全てをサポートし、顧客にカスタマイズされたソリューションを提供するとしている。なお、同社は売上高のうち約3分の2がエンジニアリングコンサルティング分野で、残りが製品分野によるものだという。
Parra氏は「テストツールの市場では、われわれは車載イーサネット分野で競合他社より5年以上先行しているといえる。また、より多くのハードウェア製品を提供し、それらがあらゆるソフトウェアと互換性を持っている点も強みだ」と説明。エンジニアリングサービスにおいても、「われわれほど車載イーサネットおよびアーキテクチャに特化している企業は他にないだろう」と強調していた。
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